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2171 糖度計の原理の図についての疑問

糖度計の原理

 糖度計(屈折計)には、アナログとデジタルのものがあります。前者は透過式、後者は反射式という別の仕組みで、どれだけ屈折するかを測っています。
 今回注目したいのは、アナログで使われる透過式の屈折計です。
 「糖度計 原理」などで画像検索すると、次のような図がいくつか出てきます。妙なことに、図としては同じなのですが、英語版だとか、微妙に画像のタッチや日本語の説明が違うものだとかで、何種類かのバリエーションがあります。

 光源から試料に光が入り、プリズムで屈折します。このときの屈折角が、試料の糖度によって違うのがミソです。この屈折光が凸レンズを通って目盛板のどの位置を通過するかで目視することで糖度が分かる、という仕組みです。

疑問というかツッコミ

 しかしこの図で、屈折を利用して糖度を測る仕組みを理解しようとすると、あれれ~おかしいぞ~とツッコミを入れたいところがいくつか見られます。

入射光の角度

 まず、光源からの入射光の角度。アバウトに見ると、入射光は試料とプリズムの境界面に沿って進むように見えます。お前、プリズムの方へ行く気ないだろ!

 ただ、どう考えてもそれではプリズムに入って行けませんから、少なくとも入射角=90°という殺生なことはないはずです。

 てことで、光源から入射光が試料とプリズムの境界面に入る角度をマイルドにして、ついでに境界面を水平にしてみました。


 で、この図からわかるように、濃いときよりも、薄いときの方が光は大きく屈折します。直感的に逆じゃないか、と思った人もいるかもしれません。しかし、これで正しいのです。

 というのも、屈折率の大小を並べると次のようになります。
 プリズム(ガラス) > 濃い砂糖水 > 薄い砂糖水 > 水

 そして入射側の砂糖水の方が屈折率が小さいので、必ず 入射角>屈折角 となります。というか、これだけ入射角が大きければ、入射側の方が屈折率が大きかったら全反射しそうですよね。
 では、入射角=反射角 の場合は、直進することになりますが、それは入射側と屈折側で屈折率が等しい(入射側と屈折側で屈折率の差が0の)場合です。
 そして、入射側(試料側)と屈折側(プリズム側)で屈折率の差が大きくなっていくにつれ、光は大きく曲がっていくわけです。さて、薄い砂糖水とプリズム、濃い砂糖水とプリズム、屈折率の差が大きいのはどちらか?はい、そういうわけです。

レンズが何も仕事してない…

 もう一つツッコミを入れたいところとして、レンズがあります。図を見るとレンズを通った光がそのまま直進しています。だったらレンズいらないじゃん。何でここに凸レンズを入れたのか。
 この図を見る限り、(メーカーの技術者でもなければ実物を分解したことのない自分が考える)理由は2つ考えられます。
 一つは、濃度が低いときの屈折光(紫)と高いときの屈折光(赤)がどんどん離れていってしまうので、凸レンズである範囲におさえて、小さな目盛版で見ることができるようにすること。

もう一つは、図のデフォルメとは裏腹に、実際には濃度が低いときの屈折光(紫)と高いときの屈折光(赤)であまり差がないので、凸レンズを虫眼鏡的に使って拡大することで、濃度による違いがはっきり見えるようにした。

まさかとは思うけど

 実物は使ったことがあるけれど、中を分解したことのない中学理科脳の自分が、原理図を見ただけでここまでつっこめるというのは、さすがにこの図には、控えめに言って改善の余地があるのではないかと。これは当然、この図を使っているいろいろなサイトの方々、たとえば糖度計のメーカーの方だとか、技術・工学系の方々だとかにおかれましては、私よりプロのはずなので重々承知なのではないかと拝察されます。にもかかわらず、ネットには英語版だとか、微妙に画像のタッチや日本語の説明が違うものだとかで、何種類かのバリエーションがあるのはどういうことでしょう。まさかとは思うけど、海外のよくわからない英語の説明に書かれていたいい加減な図を、よく吟味しないままとりあえずあるサイトが和訳し、そしてそのサイトを見た別のサイトが図の妥当性については何も考えずパクろうと思ったんだけど、さすがに著作権的にまずいので、図を同じようにリライトして、それを見た別のサイトが…という、「pHのJISを制定する」話に通じるようなネットの怪談ではないでしょうね…。だからインターネットは玉石混交とか言われるんだよ…。

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