pHをどう読む?問題、ここまでの流れ。
pHをどう読む?(前編)では、ドイツ語読みの「ペーハー」を駆逐することに成功しましたが、pHをどう読む? (後編)ではピーエッチかピーエイチかの議論において、wikipediaの記述の信ぴょう性が気になり、過去のJISや学術用語集を調べようとしたのですが、資料の入手が難しく、頓挫しました。
でしたが、pHの後日談(1) JIS Z8802 の旧版ではにおいて、わざわざそのためだけに三田にある日本規格協会のライブラリーに行って、JISでは、最初に制定された昭和33(1958)年からずっと「ピーエッチ」だったが、平成23(2011)年からさらに「ピーエイチ」も加わったことを突き止めてきました。
そうすると残る課題は過去の学術用語集ではどうなっていたかです。文部省学術用語集 化学編 増訂2版 (1986)を調べると、pii-eiti、つまりピーエイチと読まれていました。しかしそれ以前にも、文部省学術用語集 化学編は、増訂版(1974)、初版(1955)とあります。とくに初版はpHの読みを規定した JIS Z8802 制定前なので、どのように扱っていたかが気になるところです。その謎を今回解き明かそうというわけです。
入り口の横でニャンコ様が日向ぼっこしている大学の図書館へ行ってきました。
そして、参考図書コーナーで見つけたのが増訂版(1974)
これを見ると、
pH pH pH (pii-eiti)
つまり、ピーエイチね。これは増訂2版と同じです。
では、問題の初版はどうなっているか。
初版は地下の閉架書庫にあるらしくて、取りに行っていただくかたちになる。そのため、しばらく待たなくてはいけない。
で、待つこと何分だろ?ようやく届きました。
写真を撮りましたが光って文字がわかりにくいですね。
その結果がこれです。
英和の部
petroleum product 石油製品 sekiyu-seihin
pH meter pHメーター pH-meta
pH value pH価 pH-ka
phase 相 so
和英の部
petororen ペトローレン petrolene
pH-ka pH価 pH-value
pH-meta pHメーター pH-meter
pigumento-si ピグメント紙 pigment paper
まさかの載ってない!
pH価、pHメーターがあるのに、pHが載ってない!
もちろん、「pH価」「pHメーター」もpHの部分の読みは”pH”でカタカナになっていません。
pHを学術用語として掲載すると、その読みを書かなくてはならない、そこで用語自体を掲載しない。その手があったか!と妙に感動しつつ、60年以上前の資料を閉じたのでした。
図書館を出るとき、先ほどのネコさんがお見送りしてくれました。
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