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0893 大手町時代の気象科学館(9)

観測船による海洋観測(2010-08-22)

 海は地球の表面積の約7割を占め、地球上の水の96~97%を占めます。だとすれば、海が気候に影響をおよぼさないはずがありません。実際に、海は大量の熱や二酸化炭素などをたくわえ、地球環境や気候変動に大きな影響を及ぼしているのです。

 ということで、気象庁では、海洋気象観測船などによって海洋の観測を実施しています。その海洋気象観測船の1つが、これ「凌風丸(りょうふうまる)」1380t(全長82m、全幅13m)です。

実はこの船、2001年に載ったことがあるのでその写真も一緒に

(左)操舵室のレーダー (右)モールス信号の送受信設備。現在はGPSによりほとんど使われていない。

 ほかにもなんかすごいぞ。

 北西太平洋には様々な性質を持った海流があり、気候に影響をもたらすと考えられています。そこで、海洋気象観測船では、北西太平洋全体の主要な海流を横切るように設定した航海コースに沿って、地球温暖化などの気候変動やその原因解明に欠かせない、海面から海底付近までの海流や水分、塩分、二酸化炭素などの温室効果ガスなどの高精度な観測を実施しています。
 また、油分などの海洋汚染物質や、海面付近や上空における気温や風、気圧などの観測も実施しています。

ここでちょっと過去の話。

海洋観測の基本は、水温を測定し海水を採取することです。「ナンセン採水器」は海水を採取する機器で、北極の探検家フリチョフ・ナンセン(1861-1930)が考案しました。優れた採水器であったので、20世紀初めから20世紀末まで世界的に広く使われました。「転倒温度計」は、ナンセン採水器に取り付けられ、海水温の測定に使われました。
(左)前にある黄色いのがナンセン採水器 (右)転倒温度計

では現在はというと、「電気伝導度水温水深計-多筒採水器」は、鉛直方向に連続な水温・塩分のデータを取得し、任意の深さまでの海水を採取すると言うことができる観測システムです。多筒採水器はたくさんのニスキン採水器からなります。

これがそのニスキン採水器。

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