1097 大宇宙展-星と人の歴史 東洋文庫ミュージアム(2020年9月) 

駒込の東洋文庫ミュージアムで大宇宙展-星と人の歴史が開かれていたので、行ってきました。

1階のオリエントホールには関連書籍が並びます。
アブドゥッラフマーン・スーフィー「星座の書」964成立(1981ベイルート刊)にはアンドロメダ座が。

ウォーリス・バッジ「エジプトの神とエジプト神話の研究」シカゴ&ロンドン刊、1904 では、北天の星座が載っているのですが、右ページの1番は背中に名もなきクロコダイル(ワニ)が登っているカバのHESAMUTで、2番はThe Bull MESKHETI が絵を含めて牡牛なのですが、これは今日私たちにとっては「おうし座」ではなく「おおぐま座」なのです。…といろいろツッコミどころ満載です。

そして2階に上ると、有無を言わさない 圧巻のモリソン書庫。
たまに背景としても使われますね。

常設展示にはあの「解體新書」とそのもとになった「ターヘル・アナトミア(Ontleedkundige tafelen.)」
解體新書は解剖図の扉があるページの左ページが国会図書館東大医学部図書館とは違うけど、バージョンがいくつかあるみたいです。

ターヘル・アナトミア(Ontleedkundige tafelen.) 慶應義塾大学やニチブンにもあります。

プトレマイオス「コスモグラフィア」アムステルダム刊1482(1963復刻)
12の顔はそれぞれの方向から吹いている風を表しているそうです。なんか誕生日のケーキにさしてあるろうそくの炎を消すノリですが、openlibraryにあったCosmographiaby Ptolemyには、このプトレマイオス図、なかったんだよな。念のため、Geographiaもチェックしたんだけど。このプトレマイオス図はこれらとはまた別の本にあるのか?

永代大雑書万暦大成 1924年 大阪刊
仏教の思想を図解するとこうなります。世界の中央には須弥山シュミセンがそびえています。これはヒンドゥー教、ジャイナ教、仏教に共通したもの。右下にある南瞻部州なんせんぶしゅうが人間の住む土地です。

宇宙誌 ペトルス・アピアヌス、ゲンマ・フリシウス 1564
インターネットアーカイブではたくさんのバージョンがありました。天動説に基づく宇宙の構造図が有名です。

H.モル「モル地図帳」1711-1717 ロンドン刊
イギリスの地図作家モルが編纂した小型地図帳。コペルニクス、ティコブラーエ、プトレマイオスの宇宙図を見比べています。
 ところで展示物の解説パネルには、展示物名と解説の間になかなか洒落たつっこみの一文が書かれています。これには 
太陽の「顔」が気になる…
たしかにそうですが、右側のプトレマイオスの図で、宇宙がハートに囲まれていることにもつっこみたかったのではないかと邪推します。

王致遠 蘇州文廟宋天文図(淳祐天文図)  1247
 世界最古の石碑天文図の拓本。インパクト大

長久保赤水 改正日本輿地路程全図 1775
 正確さを重視し、経緯線が書かれた初めての日本図。この後つくられた、伊能忠敬の地図は実測図なのに対し、観測や測量を行わず、天文方の渋川春海の計測した緯度数や過去の日本図などの膨大な資料を基に作成しました。

福沢諭吉 改暦辨   (国会図書館慶應義塾大学青空文庫
 明治時代に日本が太陽暦(新暦)を導入したとき、政府は変えると決めただけで、詳しい説明はなかったため、福沢諭吉が新旧の暦のポイントや新暦の必要性を説きました。そのため、

且つ又これまでの暦にはつまらぬ吉凶を記し黒日の白日のとて譯もわからぬ日抦を定めたれば、世間に暦の廣く弘まるほど、迷ひの種を多く増し、或ひは婚禮の日限を延ばし、或ひは轉宅の時ときを縮め、或ひは旅立の日に後れて河止めに逢ふもあり。或ひは暑中に葬禮の日を延ばして死人の腐敗するもあり。一年と定めたる奉公人の給金は十二箇月の間にも十兩、十三箇か月の間にも十兩なれば、一箇か月はたゞ奉公するか、たゞ給金を拂ふか、何れにも一方の損なり。其外の不都合計ふるに遑いとまあらず。是これ皆大陰暦の正しからざる處なり。

などと旧暦をディスっています。

大宇宙展-星と人の歴史は2020年9月22日(火・祝日)まで。
東西の古の宇宙への思いがあふれる展示でした。コンパクトな図録もあるので記念に買いました。

そしてアンケートコーナーのこの石はパキスタンのハイデラバード近郊で採掘されたグリーンオニックスです。これも必見。

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