0910 【水溶液とイオン03】原子の成り立ちとイオン(3) 水溶液と電流
てことで、水溶液にすると電流が流れる物質と水溶液にしても電流が流れない物質があることがわかりました。
何でもかんでも水に溶ければ電流が流れるということではないのですね。
ここで、電解質の水溶液である食塩水に電流を流している様子をよく観察してみましょう。
電極に泡が発生します。
さらに高濃度の食塩水で実験すると、陽極付近が黄色くなってきます。
黄色の正体は電極のステンレスから溶けだした鉄のイオンらしいです。 なので、ステンレス電極ではなく白金電極でやってみると黄色くなりません。
これは何でしょう。
ってことで、課題設定します。
課題:電解質の水溶液に電流が流れているとき、水溶液では何か起こっているのだろうか。
で、ここで唐突に出てくる塩化銅CuCl2。
これも電解質なので、塩化銅水溶液に電流を流して、両極、そして水溶液での変化を見てみましょう。
なんで塩化銅水溶液なの?という疑問は、「大人の事情」ってことで聞かないでもらいたい。
ここでの「大人の事情」すなわちなぜ有害にもかかわらず塩化銅水溶液を使うかというと、両極から出てくる物質が、溶質の塩化銅が分解されてできたと、中学生でも明確にわかるからと考えられます。
これが塩化銅のような塩化物ではなく硫酸銅のような硫酸塩、炭酸ナトリウムのような炭酸塩、硝酸カリウムのような硝酸塩などの場合、陽極に発生する気体は酸素になります。これでは、例えば硫酸銅の場合、陰極が銅、陽極が酸素が発生するとなるとCuSO4のS、つまり硫黄はどうなった、という話になります。また、ここでSO4は分解されるのか、というところも余計な論点になりそうです。ってことで塩化物でないと面倒なことになるのです。
では、塩化物なら塩化ナトリウムでいいじゃん、という声が聞こえそうですが、さにあらず。塩化ナトリウム水溶液、つまり食塩水の場合、陰極に出てくるのはナトリウムではなく水素です。もちろんこれは溶媒の水由来です。ああ、これも説明にはまりそうですね。
でも、塩化銅なら銅でしょう、じゃなかった、どうでしょう。陰極には銅が発生します。これは金属光沢やあの赤茶色から中学生でも容易に推定できます。
この他、塩酸や塩化鉄(Ⅱ)水溶液もアリです。塩酸の場合、陰極に気体の水素が発生するので、H字管など発生した気体が溜められる装置が必要です。塩化鉄(Ⅱ)水溶液の場合は、ちょっとした仕込みが必要なようです(資料1・2)から、やはり塩化銅がベストということになるのでしょう。
で、肝心の実験は?!次回を待て!
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