例えばこんな実験レポートがあったとしよう。
実験1 物質を水に溶かしたときに電流が流れるか
【目的】すべての水溶液に電流が流れるかどうか調べる。
【方法】(省略)
【結果】調べた結果を表1に示す。
○=電流が流れた ×=電流が流れなかった
表1 (罫線省略)
食塩水 ○ 塩化銅水溶液 ○
砂糖水 × エタノール水溶液 ×
果物の汁 ○ 水道水 ○
塩酸 ○ 雨水 ○
【考察】
・塩酸、食塩水、塩化銅水溶液に電流を流したとき、電極から泡が発生した。…(1)
・塩酸や食塩水に電流を流した後、水溶液が黄緑色っぽくなった。…(2)
・水溶液には、電流を通すものと通さないものがあった…(3)
【結論】
すべての水溶液に電流が流れるわけではなく、水溶液には、電流を通すものと通さないものがある
このとき、【考察】の(1)~(3)の記述は、【考察】でよいのだろうか。【結果】ではないのだろうか。という議論を、大学の先生と中学の先生で議論になったことがあります。
(1)(2)は観察した事実なので、【結果】とすることは抵抗はない。ただ、「考察でもいいかも」という意見も少数ながらある。
問題は(3)。意見は3つに分かれる。
【結果】派…水溶液には、電流を通すものと通さないものがあったというのは、実験結果から明らか。もう少し丁寧に言うと、考察の前段階である「実験結果の整理」の段階で明らかになる【結果】の範疇の事実だから【結果】に書くべきだ。(大学の先生に多かったです)
【考察】派…水溶液には、電流を通すものと通さないものがあったというのは、8つの水溶液による8つの実験結果を表1として整理したものを分析・解釈してはじめて得られたもの。したがって、これは【考察】だ。(現場の先生に多かった)
折衷派…「【結果と考察】にしては?」「そもそも結果と考察は厳密に切り分けられないところがあり、これはその例である」「生徒によって【結果】の場合と【考察】の場合がある」「この議論自体が本質的な問題ではない」「どっちでもいいじゃん」など(一般人に多い気がする)
ただし、評価の実務の面から考えると弱い。【結果】なら評価の観点としては「知識・技能」だし、【考察】なら「思考・判断・表現」となるので、【結果】なのか【考察】なのか白黒つけたいところである。
理科教育法のレポート課題にしてみようかと思ったけど、これ以上の議論が展開されないのではないかと思ってやめた。
でも【結果】派の意見も【考察】派の意見もなるほどと思わせるものがあります。
ちなみに私は現場の一人として【考察】派。だって、そうしないと、【考察】に書く内容がなくなる(笑)。
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