0969 【化学変化と電池05】化学変化と電池(1) 電池の条件

ナツミカンを半分に切って、銅の板と亜鉛の板をぶっさす。

でもって、銅の板と亜鉛の板に銅線をつなぎ、2本の銅線にプロペラモーターを結ぶと、プロペラが回る。

 プロペラが回っているってことは、電流が流れているってこと。
 でも、この回路には乾電池もなければ電源装置もない。負荷であるプロペラモーターと銅線以外にあるものは、レモンと金属板だけ。
 てことは、このレモンと金属板が電池の役割をしていたわけだ。

 電池って、そんな簡単にできるんだ。でもどういう条件で電池はできるんだろう。

課題:どのような金属板や水溶液を使えば電池ができるのだろうか

[構想]
まずだ、さっきレモンに銅板・亜鉛版をさせば電池ができた。
ってことは、水溶液にレモン汁を、金属板に銅と亜鉛を使えば電池ができるかな。
この「レモン汁・銅と亜鉛」パターンを基準にして考えよう。
確認はプロペラモーターの他、電圧計を使ってみよう。電圧計を使えば、2枚の金属板のどちらが+極でどちらが-極がかもわかります(端子を逆につなげば針がマイナスの方に触れる)。

水溶液をレモン汁のままにして、金属の組み合わせをいろいろ変えてみる。
そこで電流が流れたものと流れなかったものがあれば、どんな組み合わせだったら電流が流れ、どんな組み合わせだったら流れないか、規則性を見つけよう。金属板はたまたま銅と亜鉛の他、マグネシウムリボンがあったので、それを使ってみよう。

次に、金属板を銅と亜鉛にして、水溶液をいろいろ変えてみる。
そこで電流が流れたものと流れなかったものがあれば、どんな水溶液に電流が流れ、どんな水溶液に流れないか、規則性を見つけよう。水溶液といえば電解質と非電解質ってやったから両方の水溶液を何種類かずつあるといいね。電解質には塩酸と食塩水、非電解質は砂糖水とエタノール水溶液でいってみようか。

[実験]
1. まずは、基本形
(1) レモン汁+銅・亜鉛 でプロペラが回っていますね。

ちなみに、銅が+極、亜鉛が-極で、電圧を測ると0.98Vでした。

2. 水溶液はレモン汁のまま、金属を変えてみましょう。
(2) 銅とマグネシウムもプロペラが回りました。
銅が+極、マグネシウムが-極で、電圧を測ると1.34Vでした。

(3) 亜鉛とマグネシウムもプロペラが回りました。亜鉛が+極、マグネシウムが-極で、電圧を測ると0.60Vでした。

(4) 銅と銅では、プロペラも回らず、電圧計も針が動きません。0Vです。
(5) 亜鉛と亜鉛も0Vです。
(6) マグネシウムとマグネシウムも同様です。

3. 金属板は銅・亜鉛の組み合わせを貫き、水溶液を変えてみましょう。
(7) 塩酸 プロペラ「いつもより余計に回しております」0.82V
よく教科書的には銅板から泡が発生しているといわれていますが、亜鉛板からも発生しています。というか亜鉛板の方が泡、目立ちまくり。そりゃ、亜鉛と酸ですから溶けて水素が発生しますよね。
 Zn + 2HCl → ZnCl + H

別の日に同じ条件でやったら0.70Vと電圧は下がっていましたが、銅板からもちゃんと泡が確認できました。

(8) 食塩水 電圧は0.60Vと低めですが、プロペラは回っております。


(9) 砂糖水 「お、おう…」 プロペラ回らず、電圧も0V

(10) エタノール水溶液 も同様の結果でした。

[考察]
A. 金属板について
 (1)~(3)のように、2種類の金属を組み合わせて使ったときに電流は流れ、(4)~(6)のように同じ金属を組み合わせて使ったときには電流は流れなかった。
 したがって、電池ができるためには、2種類の金属板が必要である。

B. 水溶液について
 (1)の他、(7)(8)のように、電解質水溶液の時に電流は流れ、(9)(10)のように、非電解質水溶液の場合は電流が流れなかった。
 したがって、電池ができるためには、水溶液は電解質の水溶液である必要がある。

以上より、

結論:2種類の金属板と電解質水溶液を使えば電池ができる。

これにて一件落着!