太陽は東の空から出て、南を通って西の空に沈む、ということは小学校でもやりました。
太陽は間違いなく動いているわけですね。
では、太陽の動きを観察して、その特徴を調べてみましょう。
でもその前に、空に見える太陽など天体の位置を表す方法を確認しておきましょう。伝えたい相手が一緒にいたら「ほら、あそこだよ」と指さすこともできますが、電話越しだったり、別の日でもわかるようにとなると、うまく天体の位置を表す方法が必要です。どうやって表しましょうか。
まず、あるところに観測者が立っています。
その人にとって広い地面、という、地平線が遠く(無限に遠いところ)にあります。どの方向も等距離だとすると、観測者を中心とした円になります。
さらにさらに、その地平線までの距離と等距離を高さの軸まで考えると、観測者を中心とした半球にになります。
太陽や星は、この半球上に張り付いていると考えることとします。
で、観測者の真上の半球面を天頂と呼びます。
そうすると天体の位置、すなわち空の中で特定の位置を示すということは、この半球面での位置を示すということになります。
試しに、半球状にある星Pの位置を表すことを考えてみましょう。
説明のために、観測者のいる場所をO、半球の北側の縁をNとします。
これを真上から見ると、こうなります。PはOやNと違って地平面にないので、微妙に灰色にしてみました。
で、OからPに向かっての向き、北東か北北東あたりでしょうか。その延長上で半球の縁に当たる部分をAとします。
その時、北を0度として時計回りに目標点までの角度、この場合でいえば∠NOAを方位角といいます。東なら90度、南なら180度、西なら270度となります。
ちなみに、「方位角は北を0度とする」ことについては、日本天文学会の天文学辞典の地平座標系の項目にその記述がありますから、現在の天文学的な定義はこれが正しいといっていいでしょう。
しかし、ネットの一部では「天文学では南を0度として」という説明が見られますので気を付けましょう。以前はたしかに南を0度としていたが、1992年ごろに北を0度とするように変わったという情報もあります。ただしこの情報に関しては、私はウラはとっていませんので、「天文学では南を0度として…」という人には「や~い、この令和の時代に20世紀の定義~」と馬鹿にしたりあおったりするのは控え、そっと天文学辞典を見せて恩を売るだけにとどめた方が良いと思います。
さて上の図をもう一度さっきの角度から眺めてみると、天頂とAを結ぶ半球の円弧上にPがあるはずです。
そこで今度はPとOを結び、∠POAを高度と呼びます。
天頂なら90度、地面の高さなら0度です。地球の緯度と考え方は同じです。
「高度」というと普通は「この飛行機の高度は11000mです」みたいに、地面からの距離を指すことが普通ですが、ここではあくまでも角度で示されること、角度を使って高さを示すことができることに注意しましょう。
違う、そうじゃない
新品価格 |
この方位角と高度の2つの角度を組み合わせることによって、半球面上の任意の場所を示すことができます。
もっとも、中学理科の範疇に限って言えば、実際に天体の位置を方位角と高度を使って表す、なんてことはしません。
太陽の「南中高度」を説明するための伏線として「高度」は役割がありますが、方位角については天体については4方位でほとんどの場合事足りますし、8方位で解決しない話はないでしょう。
とはいえ、数学で、x座標とy座標の2つの数字を組み合わせることで平面上の任意の点の位置を示すことができるのと同じように、半j球面上でも方位角と高度の2つの角度を組み合わせることによって任意の場所を示すことができることを理解することは有意義なことでしょう。案外簡単なんだなと思うもよし、曲がっているとはいえ、しょせんはふつうの平面と同じ面だ、と気づくもよし。
このような位置の示し方を地平座標系といいます。観測者にとっては自分が中心なのでわかりやすい位置の示し方ですが、宇宙の中で観測者がいる地球自身が動いているため、本当はほとんど動いていないはずの星でも、時間がたつと別の位置にある、つまり動いているように見えてしまうのです。
観測者の位置によらない天体の位置の表し方というのもありますが、高校レベルなので、ひとまずここまでということで。
今回の画像はパワーポイントで作りました。必要な方は以下のURLからダウンロードしてご自由にお使いください。改変・カイゼンもOKです。
0994 天体の位置をどう表すか
ただしダウンロードに当たって条件が一つだけ。
「観測者」は男子トイレのマークだと気づいても言わない約束だからねっ!
コメント