1026 【天体の動きと地球の自転・公転15】年周運動と公転(6) 南中高度と季節

夏は赤道よりも北極の方が昼間は長いのに、どう見ても赤道の方が暑い。これはなぜか。
物を温めるには加熱時間が長ければいいってもんじゃないんですよね。もちろん短いよりは長いほうがいいんだけれども、火力という要素を忘れてはいけません。

太陽と地球でいえば…太陽の光の当たり方が関係しているのです。

同じ面積の板でも光の当たる角度によって、どれだけの光を(熱を、エネルギーを)受け取れるかが変わってくるのです。
a~dの緑色の「板」の面積はそろえているので、板にあたっているオレンジ色の矢印(太陽光)の本数を比べてみましょう。

同じ図ですが、オレンジ色の光線の向きをそろえてみました。

a~dで緑色の板の面積は同じ。ところが、それにあたっているオレンジ色の矢印(太陽光)の本数はというと、aは1本、bは4本。cは6本、dは7本と異なります。本数が多いとそれだけ光(熱、エネルギー)を受け取っている、すなわち「火力が強い」ということになるので、温まるようになります。

これを地球上で考えると…

春分や秋分だと、aは北極や南極、dは赤道にあたる場所です。夏至や冬至で傾いたといっても、やはり北極や南極よりも赤道の方が火力は強いです。つまり極地の方が加熱時間は長いといっても、赤道の方が火力が圧倒的に強いので、赤道の方が暑いということになります。

で、この板と太陽光のなす角こそが(太陽)高度なわけです。
太陽高度が高いほど、火力が強くなり、最大は高度90度、つまり天頂に太陽があるとき、というのはもうわかってもらえると思います。

で、1日でも日の出や日の入りでは高度0度ですから、1日で最大の太陽高度、南中高度で比べてみればよいわけです。

次の図は、春分・秋分の日の地球の太陽光の当たり方を示したものです。
Nは北極点、Sは南極点、Oは地球の中心、Cは赤道上の点で、P、Qからのオレンジ色の線が太陽光です。ここで、北半球にある点Tでの南中高度を考えてみましょう。点Tに置いた巨大な板がABです。

するとさっきの図と合わせて、太陽高度が∠PTBであることがわかるかと思います。
そして、点Tの北緯は∠TOCでこれをθとおきます。
すると太陽光線は平行というところから OQ//PT なので
平行線の錯角より ∠HTP=∠HOC=θ
OCとABは円の半径と接線だから垂直に交わるので ∠HTB=90°

したがって、点Tの高度∠PTBは
∠PTB = ∠HTB -∠HTP
    = 90 - θ
となります。
春分・秋分の日における 北緯θ度の地点での太陽の南中高度は
  (90 - θ) 度

例えば東京ではθ=35 として、南中高度は55度ということになります。

次にこちらが夏至の図です。地軸が23.4度傾いています。
ここでは、点Tの南中高度∠PTBはどうなるでしょうか。
数学が特印な人ならどう攻めようか考えるところではないでしょうか。

一つのあっさりした解放としては、夏至の図の北緯θ度の点Tは、春分の図の点Tと比べると、地軸の傾き23.4度だけ下に下がったわけだから、春分の図でいえば、北緯(θー23.4)度の場所ということになる。
そのため、夏至の北緯θ度である点Tの南中高度は、春分の北緯(θ-23.4)度の点の南中高度と等しい。
それは90-(θ-23.4) = 90-θ+23.4
となります。
夏至の日における 北緯θ度の地点での太陽の南中高度は
  (90 - θ + 23.4) 度

例えば東京ではθ=35 として、南中高度は78.4度ということになります。

ここでθ<23.4のとき 南中高度を計算すると90度を超えることになります。これは、南側から角度を測って90度を超えてしまったというわけですから、天頂を越して北の空に行ってしまったということを意味します。この場合、南中ならぬ北中だというのは前にやったね

ここまで言えば冬至はわかるかと思います
冬至の日における 北緯θ度の地点での太陽の南中高度は
  (90 - θ - 23.4) 度

例えば東京ではθ=35 として、南中高度は31.6度ということになります。

つまり夏は南中高度が高く、冬は南中高度が低いのです。
そういえば、夏至,春分・秋分・冬至の透明半球に記録された太陽の軌跡を思い出してみると、たしかにそうなっています。

すなわち夏は火力が強く、冬は火力が弱い。
昼の長さ(加熱時間)からいっても南中高度(火力)から言っても夏は暑くなり、冬は寒くなるということが裏付けられたわけだ。

そしてそのような季節による差を作っている原因が「地球の公転」と「地軸の傾き」です。公転していなければ太陽からの光の当たり方は変わらないし、地軸が傾いていないと北半球と南半球での光の当たり方のムラが起きないし。

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