1092 【太陽系と恒星09】 月や金星の運動と見え方(3) 金星の見え方

これは2015年1月13日に観察した金星と彗星の写真です。17:30ごろ。左の大きいのが金星(-3.9等星)、右の小さいのが水星(-0.6等星)です。

夕方に見える金星は「宵の明星(よいのみょうじょう)」といわれる満ち欠けのある明るい星です。

金星は、日本語でも「金」だし、英語でもVenus「ローマ神話の愛と美の女神」という、きれいなところをもっていっています。金星は洋の東西を問わず、美しいとされているようですね。

さて、金星(内惑星)の見え方(満ち欠け)については、月の話が分かっていれば、さほど難しい話ではありません。

ただ一つ、月の場合、地球との距離は35万6400〜40万6700kmとほぼ変わらないので気にする必要がありませんでしたが、金星と地球の距離は3950万〜2億5970万kmと、近いときと遠いときでは6~7倍もの差があります。

そうすると、こういうことも意識しないといけません。

地球との距離が大きく変化するため、見かけの大きさが変わる
近ければ大きく、遠ければ小さく見える

そう、遠近法です。

 地球は太陽の周りをまわっています。金星も太陽の周りをまわっていますが、地球の内側のコースを回ります。
 地球と金星、そして太陽の位置関係を考えたいのですが、地球と金星の両方が動いたままだとわかりにくいので、太陽の他に動いている地球の位置を固定した図で考えます。

朝の地球の位置からは、ABが見え、Cは太陽が明るくて見えず、DEは地球の裏側になるので見えません。同様に夕方の地球の位置からはDEが見え、Cは太陽が明るくて見えず、ABは地球の裏側になるので見えません。といっても、図からどうしてそうわかるのか、C以外はわかりにくいかもしれません。

 もっとも、「朝はABが見えるけどDEが見えない」と示すには次の図のように描いた方がわかりやすいかと思います。これならDEは、朝である地球の位置からは裏側にあるので、見えるわけがないと考えやすいですから。
 ただ、地球や金星は宇宙の縮尺からいえば「点」にすぎないので、このような図の描き方は適切ではありません。
 実際、平成28年度の都立高校の入試問題で科学的に矛盾している、出題ミスではないか、という指摘に対し、都教委は、サイトで出題ミスではないという趣旨の釈明をしたときに、ちょうどこのような地球の中心ではなく、円周から引かれた図を使っていました。そのため、出題ミスだと主張する方々から「そこが間違いなんだよ!」「理科教員の地学離れは深刻」などと総ツッコミが入るわ、都議会議員(当時)に絡まれるわで、再釈明をするハメにあってしまった、という事案がありました。

それはさておき、金星の見える時刻と方角の関係を整理します。

方角みえる金星(A~E)名称
 朝  東 A,B明けの明星
 夕  西 D,E 宵(よい)の明星

金星の満ち欠けモデルを使って示した、左からE、D、B、Aの見え方です。ほぼ丸く見えると遠い(小さい)、近い(大きい)と端っこのほうしかみえないと、近く(大きく)て丸い金星は見えないのですね。

地球と宇宙

Posted by rikaniga