0140 防虫剤の見分け方
衣料用防虫剤の成分
防虫剤といえば、大きく4つの成分があります。
パラジクロロベンゼン
衣料用防虫剤でいえば、パラ○ール、ネ○パラがパラジクロロベンゼンです。トイレなどの防臭剤にも使われています。
かつては学校でもトイレボールなどに使われていたのですが、その有害性のため、学校にあるのはけしからん!ということになり、現在では学校での使用は禁止となっています。
なめた時のリスクとしては、樟脳の方が圧倒的にヤバいのだけどね。(パラジクロロベンゼンなら、ちょっと舐めたぐらいでは意外に大丈夫だったりする)
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ナフタリン
ナフタレン(ナフタリン) Naphthalene C10H8 Mw=128.18
CAS No.91-20-3
強いコールタール臭の白色固体。
防虫剤ではネオパースがナフタリン製剤です。
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しょうのう
カンフルともいいます。衣料用防虫剤でいえば、藤○樟脳です。クスノキの葉に含まれ、蒸留することで取り出すことができます。
ピレスロイド系のエムペントリン
ム○ューダなんかがこのグループ。
防虫剤を見分ける
これらの防虫剤の種類のうち、エムペントリンは淡黄色~黄赤の澄明液体らしいので別として、残りの3つ、すなわち、パラジクロロベンゼンとナフタリンとしょうのうはいずれも白い固体です。
これら3種類の防虫剤を実験で見分けてみましょう。
60~70℃のお湯に入れてみる
ナフタリン(融点80.3℃)だとただ沈むだけです。
パラジクロロベンゼンも沈みますが、融点が54℃のため、融けだしてきます。
そしてしょうのうは浮いて、しかも動き回る。
三者三様に違いがわかりますね。
防虫剤を水に入れてみる
左のビーカーはナフタレンで右のビーカーはパラジクロロベンゼンです。
どちらも沈んでしまいました。一部ナフタレンは浮いているものもありますが、これでは区別がつきにくいですね。
そこで、水に食塩を溶かしてみましょう。水100mlに食塩大さじ3杯程度入れてみます。量は正確でなくてもかまいません。このねらいは、食塩の飽和水溶液を作りたいのですから。いくらがんばっても食塩が溶け残るようだったらオッケーです。ちなみに水100ml(100g)に食塩は約35g溶けます。食塩大さじ1杯は15gですから3杯もあれば溶け残る計算です。
すると…。
ナフタレンが浮いてしまいました(底の方でネバっているヤツもいますが)
これは密度の大きさが
水(1.00g/cm3)<ナフタリン(1.16g/cm3)<飽和食塩水(約1.20g/cm3)<パラジクロロベンゼン(1.25 g/cm3)
となっているためです。ナフタリンは水には沈んでも、飽和食塩水には浮いてしまうのですね。
ところで、しょうのうはどうなったか?
相変わらず水面を動き回っています。。。
融点と密度
さて、融点と密度に注目して防虫剤の見分け方を実験してきましたが、何でそんな実験が紹介されているのか。
実はこれ、中学校1年生の理科の授業で、物質の見分け方として融点や密度を使えるよ…と教えるなどという教育的な目的ではありません。そういう使い方もできると今気づきました。
これは誤飲事故の際にどの製剤の防虫剤なのかを手っ取り早く判別するために考えられたらしいです。
防虫剤を誤飲した場合、何を飲んだかによって対処がかなり違ってきます。
パラジクロロベンゼン→水を飲ませて吐かせる
ナフタリン→水を飲ませて吐かせる
しょうのう→水を飲ませますが吐かせてはいけません。吐かせるとけいれんを起こす危険性があります。
そしてどれにも共通していえることは、牛乳を飲ませてはいけません!牛乳中の油脂の分で、吸収が早まってしまいます。
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