前々回、前回にわたって使った化学物質による爆発・火災等のリスクアセスメントのためのスクリーニング支援ツール(以降「スクリーニング支援ツール」と呼ぶ)は、危険性について調べるツール。今度は有害性について調べてみたい。ということでコントロール・バンディング、略してコンバンです。なお私以外にこのように略している人がいるかは定かではない…
今回使うのは厚生労働省版コントロール・バンディングというやつで、スクリーニング支援ツールと同様にWebに質問に答えていけばいいだけです。ま、それが大変なのですが。
厚生労働省版コントロール・バンディングのツールには2種類あり、液体・粉体作業用と、粉じん作業用がありますが、中学校の理科室ですから粉塵作業などはしないので液体・粉体作業を使います。
じゃ、またエタノール行ってみようか。
ということで最初の画面。スクリーニング支援ツールとあまり変わらない印象。
しかし、作業内容はどれ選べばいいんだ?「その他」か?作業者数は授業中の生徒を想定して10人~49人を選んでおく。エタノールだから液体、化学物質数1で行こう。
はやい。というかあっけない。もうステップ2だ。ステップは4までしかないのに。
で、これはスクリーニング支援ツールのときと同じく検索⇒化学物質名称選択画面でエタノールと入力して、候補から選ぶ⇒反映 と
するとエタノールのデータが入力されるわけだ。
取り扱い温度は室温ということで20℃にしておく。
さすがに1Lも使わないから、取扱量単位はmLできまり。
次へ…で、Step3でもう結果が?
リスクレベル4, S って? ヤバそうな予感しかしない。
その右にガイドがあった。それをみるとリスクレベル4っていちばんやべーやつ。しかもSはオプションで目や皮膚のリスクを表すらしい。というかスクリーニング支援ツールとちがって、使い方その他は質問してこないのね。
そしてStep4は 作業のリスクレベルと対策シート
えーなになに リスクレベル4で実施すべき事項は…
化学物質の使用の中止、代替化、封じ込めの実施
1)原料の代替化
2)工程の密閉化 など
もう実験やめろって言ってるのに等しいな
リスクレベルSで実施すべき事項は
皮膚や眼に対する保護具の使用 など
これはわかる。手袋とか保護眼鏡だよね。これはもうやってる。
しかし、これが大きな間違いだったと、そのときには知るよしもなかった…
該当するリスクレベルの対策シートは以下の通りです。
一般原則
皮膚や眼に有害な化学物質に対する労働衛生保護具
呼吸用保護具の選び方と使い方
って、労働衛生保護具、呼吸用保護具…?!
どうも対策シートを熟読するとこんなものらしい。
ちなみにこれよりリスクが低いとされる、リスクレベル3で「封じ込めの一般原則」「グローブボックスの設計と使用」と化学物質を閉じ込めて使おうという発想、さらに軽いリスクレベル2だと「局所排気装置」「換気装置つき作業台」「プッシュプル型換気装置」と換気のパワーを上げるという対策。そんなのよりはるかに上、そもそもそんなの使うな、というレベルの話です。エタノールは。もう少しこう何というか 手心というか…
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ということで皆さん、お酒を飲むときや手指を消毒するときは、エタノールは発がん性 – 区分1、生殖毒性 – 区分1の超やばい化学物質なので、こんなカッコで飲んだり消毒したりしましょう。コントロールバンディングとのお約束だよ。
まとめ
健康有害性のリスクを見積もるコントロールバンディングは、スクリーニング支援ツールほど質問項目は多くありませんが、結果の妥当性に疑問が残ります。
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