1993【公害防止】大気有害物質特論(1)

大気有害物質特論:カドミウムおよびその化合物(2012-10-10)

公害防止管理者試験で大気1・2種を受験される予定の皆様に捧ぐ…

先日書いた受験報告の記事で、今回受験をして、良い結果になりそうな方から、このブログが大変役に立ったというコメントをいただき、本当にうれしく思いました。

他にも、公害防止管理者を受験する方からと思えるアクセス9月ごろから急増しており、たとえば10月8日現在、「ドイッチェの式」でググると、あまたの関連サイトをよそに、このブログがトップに来るという現象が起こっています。(2025注・さすがに現在は違います)

一方、今回の試験では、私は試験直前の金曜日の夜から、「大気有害物質特論」を電話帳の節ごとに平成16年以降の過去問を回して、電話帳と付き合わせながらポイントをまとめていました。その記録に、今回の問題を加えて、平成25年度以降受験される方のためにシリーズでアップしていきたいと思います。全15回を1日おきに配信します。では第1回…。(これも、来年の9月から試験日にかけてたくさん読まれるんだろうな…) 2025年注・新ブログでは当時の記事2~3回分を一つの記事にまとめています

1-1.カドミウムおよびその化合物
カドミウムに関する出題は H20-1,H22-1があります。その他、H16-4-1でも選択肢の一部がカドミウムについてです。

平成20年度 大気有害物質特論 問1
カドミウム及びその化合物に関する記述として,誤っているものはどれか。
(1) カドミウムは白色の光沢がある金属であり,鉛よりも沸点が低い。
(2) カドミウム化合物のうち,酸化カドミウムや塩化カドミウムは毒性が強い。
(3) 亜鉛鉱は,銅鉱や鉛鉱よりもカドミウム含有量が多い。
(4) 亜鉛鉱の代表である閃亜鉛鉱には,カドミウムが硫酸カドミウムとして含まれている。
(5) カドミウムイエロー製造における乾燥工程の排ガス中のダストには,硫化カドミウムが含まれる。

平成22年度 大気有害物質特論 問1
カドミウム及びその化合物に関する記述として,誤っているものはどれか。
(1) カドミウムは白色の光沢ある金属である。
(2) 閃亜鉛鉱には,0.3%程度のカドミウムが酸化カドミウムとして含まれている。
(3) 銅,鉛の製錬に用いる焼結炉などが発生源になる。
(4) 中性子遮断ガラスの製造に用いる焼成炉などが発生源となる。
(5) カドミウムイエローの製造には,硫化ナトリウム溶液が使用される。

正解は平成20年度が(4)、22年度が(2)です。
亜鉛鉱の代表である閃亜鉛鉱には,0.3%程度のカドミウムが硫化カドミウムとして含まれています。

平成16年度 大気汚染関係有害物質処理技術 問1
有害物質に関する記述として、誤っているものはどれか
(3) カドミウムは比較的低温で揮散し、揮散したカドミウムは煙灰中に濃縮される。
(4) カドミウム化合物は、主に白色系顔料として使われている。

硫化カドミウムCdSは、カドミウムイエローという異名をもつ黄色の顔料です。(4)

大気有害物質特論:鉛及びその化合物(2012-10-12)

1-2.鉛およびその化合物
鉛に関する出題は H16-2、H17-1,H18-1、H21-1、そしてH23-1があります。特にH23-1は正解の(1)と(5)で散々迷った挙句、(1)を(5)に直してしまい、再チャレンジとなってしまった、といういわくつきの問題です。

そういうわけで、まずは 平成23年度 大気有害物質特論 問1 をとりあげます。

平成23年度 大気有害物質特論 問1
鉛系顔料に関する記述中,(ア)~(ウ)の の中に挿入すべき語句の組合せとして,正しいものはどれか。
(ア) は黄色又はだいだい色の重い粉末で,耐熱塗料,クリスタルガラスなどに用いられる。 (イ) はさび止め塗料として用いられている。また,(ウ) は主成分はクロム酸鉛であり,交通標識用塗料,印刷インキ,プラスチックの着色などに用いられる。
  (ア)   (イ)   (ウ)
(1) リサージ  鉛丹    黄鉛
(2) 鉛丹    黄鉛    リサージ
(3) 黄鉛    リサージ  鉛丹
(4) リサージ  黄鉛    鉛丹
(5) 黄鉛    鉛丹    リサージ

リサージ PbO 黄色または橙色の重い粉末。用途:耐熱塗料、蛍光灯などの放射線防止、陶器、ほうろう
鉛丹 Pb3O4 赤色の重い粉末で強い毒性。用途:さび止め塗料、蛍光灯・ブラウン管の放射線防止剤
黄鉛 主成分PbCrO4 用途:交通標識用塗料,印刷インキ,プラスチックの着色
ということで、正解は(1)

なお、私が迷った挙句間違えたのはこの問題の選択肢にあります。最初(1)じゃないかと思ったのですが、ウが黄鉛という選択肢は(1)しかなく、ウ=黄鉛 だとア・イがどちらがどちらかわからなくても正解できてしまう、こんな選択肢の並べ方はしないはずだ、と考え、外したのですが…

ところで、鉛丹の有毒性についてふれていたのが 

平成17年度 大気汚染関係有害物質処理技術 問1
鉛及びその化合物に関する記述として,誤っているものはどれか。
(1) 鉛は,高温で蒸発が盛んになり、鉛ヒュームを生成する。
(2) さび止め塗料などに用いられる鉛丹の毒性は、比較的小さい。
(3) クロム酸鉛を70%以上含有する鉛系顔料は、劇物に指定されている。
(4) ペースト式鉛蓄電池の製造工程は、酸化鉛の発生源となる。
(5) クリスタルガラス製造用ガラス溶融炉からのダストには、鉛化合物が含まれている。

そういうことで、鉛丹は毒性が強いので、正解は(2)です。

2025注・鉛丹はこの記事でも紹介されています。

正解選択肢ではありませんが鉛丹はここにも登場しています。

平成21年度 大気有害物質特論 問1
鉛及びその化合物に関する記述として,誤っているものはどれか。
(1) 鉛化合物には,酸化鉛などの無機鉛とテトラエチル鉛などの有機鉛がある。
(2) 方鉛鉱は鉛鉱石の代表的なものであり,亜鉛鉱に随伴して産出することが多い。
(3) 鉛を製錬する焼結炉,溶鉱炉の排ガス中ダストには,酸化鉛が大量に含まれている。
(4) 鉛蓄電池くずから鉛を再生する工程からの排ガス処理では,集じん装置の塩酸による高温腐食に注意する必要がある。
(5) 鉛丹は赤色の粉末であり,酸化鉛(Ⅱ)又は金属鉛を酸化して製造する。

正解は(4)。塩酸による高温腐食ではなく硫酸による低温腐食
鉛蓄電池といえば車のバッテリーが有名ですが、硫酸が入ってますよね。それにとくに高温でもないし。
それと(3)の「酸化鉛」を塩化鉛とか硫化鉛とか硫酸鉛とかにしてひっかける出題とかありそうですね。焼結する、つまり焼くのですからできるのは酸化物ですが。

というところを狙ったのが 次の問題です。

平成16年度 大気汚染関係有害物質処理技術 問2 
鉛の発生源に関する記述中、下線を付した箇所のうち、誤っているものはどれか。
 鉛精錬の溶鉱炉法では、原料である鉛精鉱を焼結炉に入れ、硫黄を(1)二酸化硫黄として除き、鉛の(2)酸化物とすると同時に焼結して塊状化し、溶鉱炉で(3)コークスを加え還元して粗鉛とする。排ガスは除じんした後、(4)硫酸工場に送られる。焼結炉、溶鉱炉の排ガスは3~4g/m3N程度のダストを含み、その60~70%は(5)硫化鉛であるので、回収して焼結工程に戻される。

燃やすということは酸化なのです。できるのは酸化物なんです。鉛なら酸化鉛。硫黄が燃えれば(酸化すれば)二酸化硫黄、別名亜硫酸ガス。水に溶かせば亜硫酸となり、硫酸の一歩手前。また、鉱石などに含まれる酸化した金属を還元するのには、コークス、つまり炭素が使えます(参考…にならないな)。正解は(5)

ところで、ダストは回収され、焼結工程に戻されます。そのまま捨てるのはもったいないし、環境にもよくないですしね。そこをついたのがこの問題。

平成18年度 大気有害物質特論 問1
鉛及びその化合物の製造と排ガスの処理に関する記述として、誤っているものはどれか。
(1) 原料である鉛精鉱に含まれる硫黄を焼結炉で二酸化硫黄として除き、塊状の鉛酸化物を得る。
(2) 鉛酸化物は溶鉱炉でコークスにより還元され、粗鉛になる。
(3) 焼結炉、溶鉱炉の排ガスに含まれるダストは捕集され、そのまま産業廃棄物として処分される。
(4) 焼結炉排ガス中の二酸化硫黄は、硫酸の原料となる。
(5) 粗鉛から金、銀などの有価金属を回収する工程では、鉛が揮散する。

「産業廃棄物として処分される」いやはや大胆な…漢ですな! ということで正解は(3)

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