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1541  はじめてのリスクアセスメント @school (17) 保護具

 前回、保護具の着用という話が出てきたので、今回は保護具について取り上げます。

保護具着用管理責任者

 どんなリスクがあるか分かった。それを削減するにはどうしたらいいか。本質安全対策、工学的対策、管理的対策。それでもだめなら最後の手段として保護具の着用となります。では、どんな保護具をつけたらいいのだろう?

 はい、これ、保護具着用管理責任者の仕事なんですね。いきなり誰?って感じですが、化学物質のリスクアセスメントに基づき、労働者に保護具を着用させる場合には、保護具着用管理責任者を選任しなければならないんです。
 で、これは化学物質管理者と違って誰でもなれるというわけではなく、「保護具に関する知識と経験を有する者」じゃないとなれないんです。具体的には大きく2つあって、一つは化学物質管理専門家(化学物質管理者ではない、もっと超難関の資格)とか、労働衛生コンサルタントとか、衛生管理者免許とか、理系の資格・免許とはいえ、普通の理科の先生とは縁のなさそうな資格を持っている人。ちなみに私はなぜか第一種衛生管理者免許をもってしまっているので化学物質管理者とセットで任されてしまったわけだが。
もう一つは「保護具に関する教育」として6時間の講習を受講した人。
 なので、6時間の講習を受講して任命される可能性は大ありなわけだ。

 で、この保護具着用管理責任者が、保護具を選んだり、みんなが正しく使えるようにしたり、保護具を保守管理したりするわけです。
 他にも第三区分どうのこうのというのがありますが、学校には関係なさそうなので省略。

保護具の種類

 保護具としては、呼吸用保護具、保護手袋(化学防護手袋)、防護服、保護眼鏡などがあります。

呼吸用保護具

 一般的には保護具といえばまず呼吸用保護具という感じがします。呼吸用保護具にもスキューバダイビングみたいにボンベを背中に背負うのとか、ホースで遠くから新鮮な空気を送ってもらうのとか、防毒マスクとか、いろいろなタイプがあるため、講習などでも時間をかけて説明しますし、普段から有機溶媒を扱っている作業場ではなじみが深い保護具ともいえます。
 しかし中学校では事故レベルのことでも起きない限り縁のない物かなと思います。あるとしても、鉄と硫黄の実験のときに硫化水素の防毒マスクをするとかかなぁと考えましたが、でも先生だけしていて生徒がしていないとなるとまずそうですし(生徒は1時間の授業だけだけど、先生はクラスの数の分だけ硫化水素を吸うんだとしても)、かといって50分の授業のためだけに(硫化水素は実験の最後の方で登場しますから正味20分程度?)全員の生徒に使わせるのも無茶苦茶お金がかかるし。よく考えたら、防毒マスクしていると呼吸しづらいんだよね。
 ちなみに吸収缶は開封して一定の時間(破過時間・吸収するガスの濃度によって変わる)が経つと使えなくなる、つまり使い捨てなので、なおさらもったいないです。防毒マスクも複数の生徒が使いまわすのは嫌がるでしょうし。やっぱり無理だね。

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保護眼鏡

 学校ではまずなんといっても保護眼鏡だよね。指導要領にも載っているくらいだし。飛沫や粉塵が目や顔にかかるのを防ぎます。特にアルカリ性の水溶液が目に入ると大変ですから実験では必須アイテムですね。

着用義務

 実は、2024年の4月から、※労働安全衛生法の新たな化学物質規制の一環で、水酸化ナトリウムなどの皮膚・眼刺激性、皮膚腐食性または皮膚から吸収され健康障害を引き起こしうる化学物質(皮膚等障害化学物質等)を扱う際には保護眼鏡の着用義務が課せられるようになりました。
 皮膚等障害化学物質等には、皮膚又は眼に障害を与えるおそれがあることが明らかな化学物質(皮膚刺激性有害物質)と皮膚から吸収され、若しくは皮膚に侵入して、健康障害を生ずるおそれがあることが明らかな化学物質(皮膚吸収性有害物質)にわけられます。
 学校の理科室に普通にありそうな皮膚刺激性有害物質には、アンモニア、塩酸、塩化銅、過酸化水素、酢酸、硝酸銀、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化バリウム、銅、硫酸、硫酸銅があります。皮膚吸収性有害物質としては、中学校レベルではほとんどなく(高校化学で登場する物質はいくつかあります)、せいぜいメタノールと灯油ってところです。
 なので、理科の実験で保護眼鏡はなくてはダメゼッタイなのです。

保護眼鏡とその代用できない

 形としては眼鏡に近いスペクタクル型と呼ばれるものと、

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たまに「自分は眼鏡(視力矯正用)を書けているから保護メガネはいらない」という生徒がいますが、普通の眼鏡ではほとんどカバーできません。ゴーグル型の保護眼鏡を使って「眼鏡オン眼鏡」が安全な姿です。
 また、コロナ対策でマスクの代わりに、あるいは併用していたフェイスシールド(保護面)。保護眼鏡の代わりにフェイスシールドを生徒に着用させて実験をしていた先生を見かけたことがありますが、顔はともかく、目を守るという意味では不十分で、スペクタクル型の保護眼鏡と併用するのが正解なんだそうです。

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