温度差でガラスが割れる
酸化銀の熱分解や、蒸留などの実験で、「火を消す前にガラス管を水槽や試験管から出しておく」という注意事項があります。その理由として、水槽や試験管の液体が逆流し、加熱していた試験管が割れてしまうから、という注意事項はあるあるです。
ガラスっていうのは熱伝導率が低い。つまり熱の伝わり方が悪い。
そのためずっとガラスを加熱していると膨張するわけですが、ここで急に冷やされると、表面は冷えて縮もうとする圧縮応力が働きます。一方、熱伝導率が悪いためガラスの内部はまだ熱くて膨張しているので引っ張り応力が働きます。方や縮もうとする、方や伸びようとするのでひずみが生じガラスがわれてしまうわけです。
耐熱温度差という指標
ところで、ガラスの特徴を表す数値として、何度まで変形したり、割れたりせずに使えるかという耐熱温度の他に、高温にしたガラスを急冷した際に、どれくらいまでの温度差なら破損せずに耐えられるかを示した耐熱温度差という数値があります。
この耐熱温度差はふつうのソーダガラスなんかだと60℃程度と言われています。たとえば80℃から20℃に冷やしても耐えられるというわけですが、100℃から0℃に急冷すると割れてしまいます。
では、試験管などの理化学機器に使うガラスはというと、古いものはともかく、現在のHARIOとかIWAKIだと「硬質1級」というグレードの硼珪酸ガラスを使っています。で、その耐熱温度差はたとえばHARIOのH-32で120℃、IWAKI CTE33 は150mm×150mm×6mm板でだいたい150℃くらいです。ちなみに柴田科学もHARIOやDURANを使っています。
エタノールの蒸留実験の場合
なので、例えば炭酸水素ナトリウムや酸化銀の熱分解をした場合は加熱部に冷たい水が入ると割れてしまうことが考えられますが、赤ワインなどの蒸留実験では、丸底フラスコに液体が残っている状態ならば温度差は100℃に届かないはずなので、ヨユーでこんなことができてしまうわけです。
この実験は、授業でも
「教科書では、火を消す前にガラス管を試験管から出すと書かれています。なぜ、ガラス管を試験管に入れたままでは火を消してはいけないのでしょうか。どうなるかやってみましょう」
生徒「ざわ…ざわ…」
と展開していきますが、その後、やっぱり生徒にやってもらっています。最初の班で起こると、その班の生徒はビビりますが、他の班もやりたいやりたいとなっていきます。ちなみにこれを赤ワインでやるときは残渣による汚れが枝つきフラスコにつきにくくなるというメリットもあります。
ということで、何十回とやりましたが、これが原因で枝付きフラスコが割れることは一度もありませんでした。乱暴に扱ったり、枝のところをぶつけて枝つきフラスコを割ることはよくありましたが(泣)。
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そういえば、この逆流実験、大昔に「化学と教育」で紹介したな。



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