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0135 【状態変化5】物質の融点と沸点(2) 蒸留

 前回は、「状態変化するときの温度は、物質ごとに決まっている」ということを学習しましたが、混合物だとどうなるんでしょう。

 みりんやワインなどは液体成分としては水とエタノールがあります。(もちろん溶媒に溶けている固体の成分もありますが)。では、この混ざっている水とエタノールを分けるには、どうしたらよいのでしょうか。

課題:液体どうしの混合物を分けるにはどうすればよいのだろうか。

 具体的に水とエタノールの混合物を分けることを考えてみます。
 水とエタノールでは、水は100℃、エタノールは78℃と沸点が違います。これを利用して分けることはできないでしょうか。
 おそらく、この混合物を加熱していくと、78℃でエタノールが沸騰して、100℃で水が沸騰する、そんな感じしないでしょうかね。
 ということで、やってみましょう。

枝付きフラスコを使ったこんな装置を使います。

温度計の球部は枝分かれのところに、これ大切。

実験の詳細は「赤ワインの蒸留」の記事をどうぞ。

 混合物の加熱では、エタノールだけの時のように、グラフがピシッと平らにならないのですね。エタノールが状態変化しながらグダグダと温度が上がっていきました。

 そして実験結果で1本目~3本目を見ると、1本目はほぼほぼエタノール、2本目もかなりの割合でエタノール、でも3本目はほとんどが水かな、という感じがします。

 ということは、先に沸点の低いエタノールが蒸気として出てきて、後に水が出てきたと考えられます。つまり、蒸気の出るタイミングをはかれば、エタノールと水を分けることができるのです。(完全にではありませんが)

 このように液体を一度沸騰させて気体を冷やしてまた液体にして取り出すこのようなやり方を蒸留といいます。

結論:液体どうしの混合物を分けるには、沸点の違いを利用して分ける「蒸留」を行えばよい。

石油も、いろいろな有機物が混じった混合物です。この「いろいろな有機物」を分けるのに使っているのが蒸留です。ガス、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油、重油などたくさんの段階に分けるので「分留」と呼んでいます。

Check it out!
石油の精製(石油情報センター)

 中1粒子(化学)「身の回りの物質」のところが一通り終わりました。この単元をやってみて、やってみたいけどまだ細かいとこまで詰めていないアイデアとして「再結晶と蒸留をつなげられないか」というものがあります。
再結晶は、固体を水に溶かして溶液にしてから再び固体(結晶)として取り出す、という操作。
蒸留は液体を加熱して気体にしてから再び液体に戻すという操作
そして、両方とも物質の分離(精製)に使われる操作でもあります。
もちろん、単にそれぞれを紹介するというのではなく、似ている両者を一緒にみることで、違い(温度による溶解度や状態の変化)に注目すれば物質を分離することができるかもよ!という本質をうまくつかませたいところです。

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