2065 わくわく理科タイム「どこまで遠くが見えるかな」

※旧ブログで 2013-03-11 に更新された記事です。

気象庁によると、昨日(2013/3/10)の東京都心部で、地表付近の砂ぼこりなどが巻き上げられて「煙霧」となり、視程(水平方向で見通せる距離)が10キロ未満になりました。

そういえば昔、視程と大気汚染の話を「わくわく理科タイム」に書いたな…ということで、過去の原稿を調べてみたら、平成17年(2005年)に朝日小学生新聞に掲載したものでした。もう8年前の話ですね。

その時の原稿をアップします。大気汚染に係る環境基準について「微小粒子状物質(いわゆる「SPM2.5」)」が追加されたのは、平成21年ですから、このときはまだ注目されていなかった時代。まさかこんな日が来るとは当時は思ってもいなかった…。

どこまで遠くが見えるかな

 学校の屋上など、ながめのいい場所から遠くの景色を見てみましょう。どれだけ遠くの物まで見えるでしょうか。地図を片手に調べてみましょう。どれだけ遠くまで見えるかで、空気のよごれがわかります。

ステップ1.同じ所と時間、続けて観測
 学校の屋上など、高くて遠くが見えやすい安全な場所をさがしましょう。その場所から見える景色と地図を見くらべて、黒っぽい建物や大きな木、えんとつ、遠くにある山や川、島など、1~2キロから40~50キロの範囲で、目じるしになる物をいくつか見つけます。
 観測している場所からそれらの目じるしまでの距離を地図で調べて書きこみ、イラストのような東西南北と距離がわかる地図をつくります。
 5キロ以内の目じるしをかいた近距離用の地図と、5キロ以上の目じるしをかいた遠距離用の地図の2種類つくると便利です。
 何日かつづけて、同じ時間に同じ場所から目じるしがはっきり見えるかどうか観察します。はっきり見えた物のうち、1番遠くの目じるしまでの距離をそのつど記録します。その日の天気も記録しておきます。
 目じるしの見え方は、観測する人が「ここまでならOK」という基準を決め、同じ人が毎日見える、見えないを調べましょう。

ステップ2.空気の汚れぐあいがわかる
遠くがどれだけ見えるのかには、天気だけでなく、空気中にただよう物質も関係してきます。土ぼこりや海からとんできた物や空気中のよごれのもとである大気汚染物質などが空気中に多いと、晴れていても遠くの景色がかすんで見えにくくなります。
 大気汚染物質の中でも、「浮遊粒子状物質(SPM)」という1000分の1ミリ以下の細かいつぶは、遠くを見えにくくしている大きな原因になっています。
 SPMは加熱して水蒸気を発生させるボイラーや自動車の排ガス、工場のけむりなどから出て、長い間空中にとどまる汚染物質です。
 全国の大気汚染物質を監視する環境省の「そらまめくん」というホームページに、SPMが地域ごとにどれだけとんでいるのか、しめされています。
 「そらまめくん」で調べたSPMの数字を、ステップ1の記録と合わせて書きこみましょう。
 SPMの量と、どれだけ遠くが見えたかとの関係を調べてみると、空気のよごれで遠くの景色が見えにくくなっていることがわかるはずです。
 毎日のように天気や気温が変化するいまの季節は、1週間つづけるだけでも、それなりの変化がわかると思います。(朝日小学生新聞 2005年2月23日)

なお、イラストは私ではなく、イラストレーターさんに著作権があるので、ここにはあげられません。ステップ1の「イラストのような東西南北と距離がわかる地図」とは、視程目標図(5km未満・5km以上)のことです。もしくは、書籍を見ていただければと思います。

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