0024 【問題】ギンナンはイチョウの実?
そこに違和感をもてるか?
これは、期末テストで実際に出題した問題です。考えてみてくださいな。
秋の味覚の一つに、ギンナン(銀杏)があります。
ギンナンは「イチョウの実」といわれることがよくあります。
でも、何かおかしいことに気がつきませんか。
ここまで理科で学習したことをつかって、何がどうおかしいのか、説明してみましょう。
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解答と解説
解答:イチョウは子房がないので、果実はできない。
裸子植物のところでも書きましたが、裸子植物の学習ではたいてい、マツの雄花と雌花を例に出して雌花に胚珠が、雄花に花粉嚢があり、そこから花粉が出ること、さらに松かさにふれて、クライマックスに被子植物は「胚珠が子房におおわれている植物」、裸子植物は「子房がなく、胚珠がむき出しの植物」なんて呪文のようにとなえ、最後に裸子植物の例をあげて終わります。
おそらくはその前の授業でやっているだろう、子房は果実になって、胚珠は種子になるということが、そこには登場しません。裸子植物は子房がないから、当然に果実はできない。中学校一年生でもわかる論理的な帰結ですが、そこに注目しないため、子房がないはずの裸子植物に対し、平気で「果実」と呼んでしまえるわけです。
そして本問のように、そこを狙った問題もほとんど見かけません。
では正しくは何なのか
ではギンナンはイチョウの何なのか。外種皮と呼ばれる、種子を外側から包む「種皮」が2枚あるのですが、そのうち外側のものをさします。
同様に、松ぼっくりも「マツの果実」と呼ばれることがあります。もちろん果実ではないのですが、「球果」という器官であり、果肉はありません。ただし、「球果」といわれたら、普通の人は「球形の果実のことかな」と思うのは当然で、それが「果実」の一種ではないというのは、紛らわしいのを通り越して、もはやトラップにしか見えません。
そんなわけで、中学生(そして中学の理科の先生)向けのサイトでも、まつかさをマツの「果実」として説明しているサイトを複数見つけました。これ、授業で間違ったことを教えさせて、中学生と植物学にあまり詳しくない先生を無駄に混乱させるだけだろ。ギンナンに至っては当たり前のように「イチョウの実」と書いてあるサイトがむしろ多いし。皆様、お気をつけあそばせ。
なお、詳しい解説は啓林館の資料がわかりやすいです。
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