0025 比較するということ(1) 被子・裸子・種子

2023年2月2日

被子、裸子、種子

 アブラナやツツジなどの花のつくりとはたらきはどうなっているか、をまとめると…

*外側から中心に がく、花弁、おしべ、めしべ となっています。
*花弁が1枚1枚離れている花は離弁花、花弁がくっついて1枚のようになっているのが合弁花です。 *おしべの先端のやくには花粉があります。
*めしべの先端の柱頭に花粉がつきます。めしべの下部は子房で中に胚珠があります。
*胚珠が子房に包まれている植物を被子植物といいます。
*被子植物が受粉すると、子房は果実に、胚珠は種子になります。

 ところで、植物にしろ動物にしろ、わけのわからない細菌にしろ、生物というやつのふるまいの目的は、とどのつまり①生きる②仲間をふやす のどちらかに集約できます。たとえば、私たちがご飯を食べるのは生きるためだし、おしゃれをするのは、ステキな異性を捕まえて自分の仲間を増やすためです。

 植物にとって、栄養を作る葉や水を吸収する根は、それがないと生きていけないのでまさに①生きるという目的のために存在します。ところが、花がなくてもその植物は死ぬわけではありません。花が咲くことによって種子を作り、その種子を植えればまた花が咲く。そうやって②仲間をふやすという目的に向かっているのです。

その発想はあってほしい

 ってことは、
胚珠(種子)があればいいんだから、子房(果実)って、別にいらないんじゃね?
っていう発想も出てきそうです。

 実際に、マツやイチョウ、ソテツなどの花は、子房がなく、胚珠がむき出しです。受粉は、胚珠に直接花粉がつくことで行われます。このような植物を裸子植物といいます。

 つまり、子房があるのが被子植物、ないのが裸子植物ってわけですね。
被子植物、裸子植物の「子」というのは「子房」ではなく「種子(胚珠)」のこと。これが被われているのが被子植物、ハダカなのが裸子植物なのです。「子房」の「房」も小部屋のような意味になっていますから、「種子(胚珠)」の部屋と考えるとすっきりしますね。

と、ここら辺では被子植物と裸子植物の比較、というか相違点が注目されがちです。ま、確かに試験にもよく出ます。

大事なことはどこにある?

 でもね。

 植物にとって花を咲かせる目的は、もう一度いうけど、「種子をつくる」ことです。それによって仲間を増やすことができるのです。それは被子も裸子も変わりません。子房があるかないかなんて、種子ができれば、それは植物にとってもうどうでもいいこと、単なるオプションなのです。始めに、種子をつくるために花を咲かせる植物である種子植物ありき、そしてその手段として子房というアイテムを使うか使わないかで被子植物と裸子植物にわかれるのです。

 比較というと、ついつい相違点だけに注目しがちで、共通点については当たり前と思えることも多く、軽視してしまう嫌いがあります。

 些細な相違点なんかよりも、共通点こそに本質が隠されているかもしれないのにね。