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0274 【力の働き4】 力の三要素

力のはたらきに物体の運動の状態(=向き、速さ)を変える。というのがありましたが、止まっている物体を動かそうとするとき、力の加え方によってどっちに動き出すか、どのくらいの速さで動くかが変わってきますね。

つまり、力には「向き」と「大きさ」があるのです。
「向き」はわかりやすいでしょう。右向きとか、上向きとか。止まってる物体に力を加えると、その力の向きに物体は動き出します。

「大きさ」については量的に扱います。
力の大きさについてはニュートン(記号N)という単位を使い、約100gの物体に働く重力を1Nとします。
定義のくせに「約」ってなんだよ、というツッコミももっともな話です。

これは高校物理の範疇になるのですが、ニュートンの運動の第2法則・運動方程式というのがありまして、
物体の質量をm(kg)、加速度をα(m/s2)、力をF(N)とするとき、運動方程式はF=mαで表されます。
つまり質量1kgの物体を1m/s2の加速度を与える力が1Nというのが本来の1Nの定義なのです。
とはいえ中学では加速度なんてやっていないので、加速度を使わず1Nを説明しようとすると、こういう微妙な説明にならざるを得ないのです。

 そこを無理やり数値を使って説明すると、F=ma で、Fの単位はN、mの単位がkg、そしてaの単位がm/s2 ですが、加速度aは重力加速度g=9.80665m/s2 ですから、質量m=0.1kgだとすると ma=0.980665N 、100gの質量の物体にかかる重力は0.980665Nとなります。
 しかしこれはうざったい。500gの物体にかかる重力が4.91・・・とかやりたくない。なので、約100gの物体に働く重力を1Nというアバウトにして決着をつけたというわけです。とはいえこのずれにより、1気圧は、1033.6g重=1013.25hPaということが起こっています。

ちなみに中学理科では平成14年度からSI単位の導入に伴って「ニュートン」の単位が導入されました。ではそれ以前は何だったのかというと、「g重(グラムじゅう)」「kg重(キログラムじゅう)」という単位です。これについては以前くわしく解説しました。

さて、話を戻して、大きさと向きで力がすべてきまるかといえば、さにあらず。
例えば、机の上に背の高い物体を置きます。そこに向きも大きさも同じ力を2回加えてみました。
さて、どうなるか。

おわかりいただけただろうか。
1回目は物体がズリズリと動きました。2回目は物体が倒れました。何だこの違いは…って、押した位置、つまり、力がどこに働いたかの違いですよね。1回目は物体の低い位置、2回目は物体の高い位置でした。
この力のはたらく点を作用点といいます。

力の最初のところで、「一つの力がはたらくには、その力を出している物体と、力を受けている物体の2つがある」と示しましたが、作用点は、力を受けている物体にありますね。

これら、力の「向き」「大きさ」「作用点」を力の三要素といいます。

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