0348 【火山と地震01】火山活動と火成岩(1)火山の形(前編)
火山の話に入ります。
早速ですがいろいろな火山の写真を見てみましょう。
自分で撮ったいい写真がないので、Wikimedia様を活用して、パブリック・ドメインの画像を出典を表示して利用します。写真の転用などを希望する方は、当ブログあてではなく、リンク先に飛んで利用条件などを確認してご使用ください。
マウナロア(ハワイ)
J.D. Griggs – U.S. Geological Survey, パブリック・ドメイン, リンクによる
三原山
Ippukucho , CC 表示 3.0, リンクによる
桜島
ブルーノ・プラス – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, リンクによる
富士山
雲仙普賢岳
By Chris 73 / Wikimedia Commons, CC BY-SA 3.0, Link
昭和新山
663highland, CC 表示 2.5, link
による
こうしてみると、マウナロアのように平べったい火山もあれば、昭和新山のように盛り上がっている火山もありますね。このような違いはどのようにしてできるのでしょうか。
課題:火山の形は何によって決まるのだろうか。
火山というのは、マグマなどの火山活動で地上に出てきた噴出物ででぃています。
そしてマグマというのは地下深く、マントルと呼ばれる部分にある岩石(固体)が融けて液体になったものです。近く深くで液体になっているマグマが上昇して地上付近にまで到達すると、水などマグマの一部の成分が液体から気体になります。そうすると体積も一気に増え、周りの岩石を吹き飛ばしていき、噴火が起こるのです。
ここの説明をきちんとしようとすると、この時点で学習していない圧力の概念、さらに中学校では学習しない、物質の三態には温度のほかに圧力も関係しているという知識が必要になってきます。とはいえ、その説明は中1ではできないので、よく炭酸飲料をマグマになぞらえたアナロジーが使われます。開栓前の炭酸飲料が地下深くの状態、開栓後を地上近くの状態として、開栓後に出てくる二酸化炭素の泡をマグマから出てきた水蒸気に見立てているのです。
そのマグマなのですが、一口にマグマといっても場所によってその温度や成分は変わってきます。温度や成分が変わればその性質も変わり、火山の形も変わってくるというわけです。
そこで、こういう実験をしてみました。
おわかりいただけただろうか。つまり、水だとサーッと流れていくのだけれども、液体のりだとなかなか横に広がっていかない。
これを熱いマグマだと考えてみよう。熱いマグマも冷えたら固体になってしまってそれが火山の形になる。そこで考えてみよう。
冷えて固体になるまでの時間が同じだとすると、水のようなマグマと液体のりのようなマグマでは、平べったい形になる・盛り上がった形になるのはそれぞれどちらか。
おわかりですね。
水のようなマグマの方が平べったい形で、液体のりのような盛り上がった形になります。
ここで、冒頭にあったマウナロアと昭和新山をそういう目で見てみると、マウナロアは平べったく、水のようなマグマだったんだな、昭和新山は盛り上がった形で液体のりのようなマグマだったんだな、ということが分かります。
さらにもう一つ問いかけます。
水と液体のりで流れ方が違ったのは、両者のどのような性質が違ったからか。
問いかけておきながら、これは半分語彙の問題かな、とも感じますが「ねばりけ(粘性)」ですよね。粘り気の小さいのが水、大きいのが液体のりです。
課題:火山の形はマグマの粘り気によって決まる。
中学校の範囲ではありませんが、そうすると、「マグマの粘り気(粘度)は何によって決まるのか」という疑問がわいてくるかもしれません。その要因は大きく2つあります。
1つは成分、具体的には二酸化ケイ素(SiO2)の割合です。SiO2 の原子はSi-O-Si…と、どんどん結合 (重合)していく性質があります。こうなればなるほど、結束は強く、言い換えると形の変化がしづらく、粘り気が大きいということになります。一方、SiO2の割合が低くなると、それだけSi-Oの結合に邪魔が入るわけで結束力は下がり、粘度は小さくなります。マウナロアなどのマグマの粘度が小さい玄武岩質の火山では、SiO2含有率が50%程度、昭和新山などのマグマの粘度が大きい流紋岩の火山ではSiO2が70%程度含まれています。
もう一つは温度です。温度が高いと粘度が小さくなって流れやすくなります。一般に 玄武岩の溶岩は1100-1200℃と温度が高く、安山岩や流紋岩の溶岩になると850-1000℃と温度がちょっと下がってしまい、温度でも粘度の差がついてしまうのです。
次回は火山の形ごとの特徴を整理していきましょう。
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