場所が違いますが、同じ東京軽石層という5万2000年前の箱根火山の噴火によってもたらされた地層が見られます。
さらにこの層の上下も、城ヶ島と江の島では同じような地層が並んでいます。どういうことでしょうか。
課題:離れている場所で同じような地層の地層の並び、これは何を意味するのだろうか。
露頭やボーリング資料を使うと、ある場所でどのような地層がどのような上下関係で並んでいるかがわかります。それを図にしたものが柱状図(地質柱状図)です。
地質柱状図へのリンクはこの記事で紹介されたリンク先から見られます。
そうすると例えばほぼ直線上に並ぶ何か所かの地質柱状図を並べて、同じ地層はどれかを考えていくと、地下の地層がどう広がっているか(地層面の傾きなど)を推定することができます。
とはいえ、離れた二つの場所で、「砂の層」や「泥の層」があっても、いくつもあるのでそれが同じ地層なのかどうなのかはわかりにくいことがあります。これではうまく地層の広がりを推定できませんね。
でも、例えば火山灰の地層ならどうでしょう。
火山灰は火山が噴火した短期間で広い範囲に堆積します。また、岩質に特徴があって識別しやすく、しかも違う火山では違うタイプの火山灰が見られるので、火山灰から、それがどの火山のいつの噴火のものかがわかります。すると噴火の時期から時代が特定できます。まるで示準化石のような役割をしてくれるのです。
もちろん示準化石を含む地層も、その化石があればいつ頃かはわかりますから時代が特定できます。
これらのような他の地層から容易に区別できる珍しい特徴をもった地層を使えば、その層を鍵として、その地域の地層の広がりが推理しやすくなります。このような地層を鍵層といいます。
このような1か所の「点」を掘り下げた柱状図という「線」をいくつも並べていくと、やがて地質断面図のような「面」となって、私達のあしもとでの地層の広がりというのが分かります。
一方、普通の地図に、表面の地質で色分けしたのが地質図です。
結論:離れている場所で同じような地層の地層の並びから地層の広がりの様子が分かる。
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分かりやすい地質百科 鍵層(けんそう)
千葉県環境研究センター・環境だより 通算 12 号(平成 29 年 1 月発行)
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