0002 【生物の観察と分類の仕方1】生物の観察(1) 身近な生物の観察前の準備
校庭や学校周辺にはいろいろな生物がいます。楽しそうですね。それでは、生物を観察してみましょう。ということでさっそく外に出てみました。
…というわけにはいきません。中学校での理科の授業での観察なので、ふらっと適当に歩いてそこで好奇心のおもむくままに見つけたものを見てみるという、テレビの散歩番組とは違うのですから。
だから「理科の観察」に必要ないくつかの準備と心構えをみていきましょう。
何を観察する?(観察の目的・視点)
それにはまず、目的が必要です。何を観察するのか。
実は同じものを見ても、人によって、同じ人でもその時によって見ているものは案外違うこともあります。「真実はいつもひとつ」だとしても、その真実の見え方は一つとは限らないのです…。よくわからない?じゃ、具体例を見せるね。
白か?黒か?
たとえば、これは何に見えますか。
Edgar Rubin, “Synsoplevede figurer, studier i psykologisk analyse",Gyldendal, Nordisk forlag København og Kristiania 1915
これは有名な「ルビンの壺」という絵で、白い部分を見て壺に見える人と、黒い部分を見て向かい合っている人の横顔に見えます。
ちなみにルビンの壺の著作権についてはこちらが調べてくれました。保護期間は過ぎているようです。ならば原書"Synsoplevede figurer, studier i psykologisk analyse"をネット上のどこかでフリーで公開してないかな~と思ったのですが、なかなかみつかりません。もっとも、見つけたところでデンマーク語で書かれているので読めやしないのですが…。
本筋とは大きく離れたり、指導者向けの雑談は、緑文字・小さめのサイズで表示しています。
うそでしょ?と思う人が約半数いる動画
それから、こちらの動画で、白い服を着た3人組がバスケットボールのドリブルを何回しているか数えようとすると…これなんか、ここまで衝撃的なことになってしまいます。
できればこれは一人で見てください。どうしても複数の人が同時に見る場合、何があっても決して声に出すなどのリアクションはやめてください。(つい、声に出したくなるので)
だからどこに注目するかが大切!
同じお坊さんでも、憎く思っていたら袈裟まで憎く見えるし、好きだったら「あばたもえくぼ」になってしまいます。相手が全く同じでも観察する人がどこに注目するか、どこに視点をおくかって、実はけっこう大事なことなんですよ。
なので、どこに注目するかは、初めに決めておきたいところです。
疑問をもつのもいいね!
さらに、たとえば
「日なたと日かげではそれぞれどんな生物がいるだろうか」
「同じタンポポでも、場所によって育ち方は違うだろうか」
などとあらかじめ疑問を持って、実際にどうなのかを外で観察すると、理科の学習としてはVeryGoodなわけですが、レベルの高いことでもありますので、まずは、「どこにどんな生物がいるか」という視点で見ていくといいでしょう。
そして、「課題」の設定へ
いずれにしろ理科の学習なので、目的や視点をもって観察することはとても大切です。ボケっと特に視点を持たず、外で適当に生物を眺めているのは、リラックスできるのでそれは否定しませんが、理科の授業以外の時間にしましょう。
もっと言うと理科の授業(に限りませんが)、問いに対する答えを見つけたり、何かをしよう!という「課題」を解決するのが、基本的な流れです。
謎(?)を作って、感動(!)で落とす というとちょっちかっこいいですね。
課題:校庭の周りには、どこにどんな生物がいるだろうか。
なんて課題を設定して、校庭の生物を見ていきましょう。
記憶はあやふやになるが、記録はきちんと残る!
そして、観察したら記録をすることも大切です。
どこで見つけた?大きさはどれくらい?色は?どんな形だった?ほかにどんな特徴があった?
特に観察の視点になったポイントは詳しく書いておくといいですね。「どこにどんな生物がいるか」と生物を観察していたはずなのに、どこで見つけたか忘れちゃった…ではもったいないです。生物の形はスケッチしたり写真を撮ったりすることもできますね。そうそう、観察した日にちも記録しておきます。
そして記録の大切なポイントとして忘れてほしくないのが、その場ですぐに記録すること。
覚えていて後で書こう、というのはナシです。どうしても記憶だとあやふやになったりしますし、その場で記録したということが、あなたが観察をさぼって適当に書いたのではなく、ちゃんと観察したという「証拠」にもなるのです。
最近では、屋外の観察時に記録をするのはやりにくいということからか、外ではデジカメで写真を撮って、教室に戻ってからスケッチなどの記録をする、という指導もあるそうです。個人的に思うところはありますが、とりあえず生徒が「なんでデジカメで撮ったのにわざわざスケッチをするんだろう」という疑問への答えは用意しておきたいところです。
観察や実験の記録で、見てないものやしていないことを書いたり、実験の結果を一度記録したけど教科書と違っていたのであとで書き直したりするのは、理科の世界では犯罪並みに絶対にやってはいけないことなのです。(もちろん、実験が失敗したのでもう一度やり直すのはOKですよ)
昔、小保方さんって人がいてだなぁ…。
プロは道具も使いこなす!
そして道具については事前に使い方をマスターしておきましょう。
ルーペの使い方
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カメラを使うならその操作方法も確認しておきます。
そして最後は安全第一!
そして観察や実験で一番大切なこと。安全第一。
ちなみにもともとは「安全第一 (safety-first)」ではなく「安全第三」でした。
アメリカの鉄鋼会社USスチールで「生産第一、品質第二、安全第三」でといっていたのですが、不景気の中、劣悪な環境の中で危険な業務をやっていたものだから、たくさんの労働者が事故にあったのです。そこでエルバート・H・ゲーリー社長が1906年に「安全第一、品質第二、生産第三」にスローガンを変更。すると、労働災害は劇的に減っていったのです。
USスチールは世界的に大きな会社ですから、この「安全第一」という標語もアメリカはもちろんのこと世界へと広がっていきましたとさ。めでたしめでたし。
くれぐれもけがをしないように気を付けましょう。
といっても具体的にどのような点に気を付ければいいか説明しないと気をつけにくいですよね。
・服装はなるべく肌を露出しないものにする。(日あたりが強ければ帽子などもかぶろう)
・ハチなど危険な生物に近づかない。
・ルーペで太陽を見てはいけない!
このほか、安全上というよりはマナー面での注意として次のようなものがあります。
・石を動かしたり、土を掘ったりしたところは元に戻しておこう
・花を抜いたり、小さな虫をつぶすなど、みだりに殺生しない。←生命尊重・自然愛護!
その他、場所や時期、状況によって追加すべき注意事項がありますから、先生の指示に従って観察しましょう。
それでは、観察に行きましょう!ご安全に!
終わったら、校庭の周りのどこにどんな生物がいるかまとめていきましょう。
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