PR

0032 【生物の体の共通点と相違点07】植物の体の共通点と相違点(7) 植物の分類表

ここまでのまとめ

 ここまで断片的にやってきた植物の分類について、一つにまとめると、こんな分類表ができます。


この分類表があれば、初めで出会った植物でも分類することができます。

 と言っといて何なのですが、現実はなかなか厳しいぞと。
 双子葉類か単子葉類の判別は、子葉の時期を過ぎてしまった植物はどうすんだと一瞬思いますが、これは根・茎・葉でも区別がつけられるので無問題なのでいいでしょう。 
 でも、植物の分類の最初の分かれ目「仲間をどうやってふやすか」、種子か胞子か、とりあえず花があれば種子植物ですが、初めて見た植物に花がなかった場合どうするか。「花が咲く植物だけど今は咲いていない(つまり種子植物)」なのか「もともと花が咲かない(シダ植物またはコケ植物)」なのかは、難しいよね。
 種子植物だとわかっても、被子か裸子かを確認するのも、めしべもしくは雌花を探す必要があります。
 ってことで、初めて見た植物を分類するには、その植物の花を探したり子房や胚珠を探したりと、それなりの知識が必要です。素人にはお薦め出来ない。

分類の実際

 例えば、アジサイはどこに分類されるでしょうか。分類表に沿って分類してみましょう。
 まず、花がさきますから種子植物ですよね。

 アジサイの花が咲く前の段階で切ってみました。下の方に見える粒、わかるでしょうか。胚珠です。胚珠を包んでいるのが子房です。つまり、被子植物となります。

 分かっている人は次の段階では花に注目しません。そう、葉の葉脈ですね。網静脈なので双子葉類です。

 4枚の大きいやつは「がく」です。花弁は十字になっている4枚の小さいやつです。こういう見分ける知識も必要になってくるのですね。ということで花弁が4枚離れていますから離弁花類ということになります。

 つまり、アジサイは 植物>種子植物>被子植物>双子葉類>離弁花 となるのです。

「植物」の座を追われた生物

 ところで、マリモとかコンブ、ワカメという生物がおりまして。

 この仲間は藻類(ソウ類)というのですが、「現在の」中学校理科では、植物に含めないスタンスです。生物界は「植物界」,「動物界」,「菌界」,「原生生物界」,「モネラ界」の5界に分ける5界説の考え方に基づいて分類しています。藻類は原生生物界の仲間なので植物界を追い出されたというわけです。
 ただし、藻類が「植物界」から追い出されたのは、(たぶん)平成20年改訂の指導要領からで、その前は藻類も植物の仲間として扱われていました。
 なので、藻類が含まれていたときは、花の咲かない植物にはどんなものがあるかというと、
「これなあに」

「こけし」
「そう。こけしだ!(ソウ、コケ、シダ)」
だったのが、「これなあに」「こけしだ(コケ、シダ)」に変わってしまいました。ってどうでもいいですね。

 もっとも、平成10年改訂の学習指導要領では、「種子をつくらない植物については、その存在を指摘する程度にとどめること。」とされており、藻類はおろかコケやシダについても深入りしていなかったようですが。

 マリモやコンブ、ワカメ自体はずっと変わらないのですが(もちろん生物の進化とかそういうレベルの話ではなく)、人間の方で「植物」をどう定義するかが変わったので、藻類の立ち位置が変わってしまったわけです。

 とりあえず中学生の段階では「世の中には植物でも動物でもない生物が存在するんだ」というところだけは、知っておいて損はないかと思います。
 他にもキノコやカビの仲間(菌類)とか乳酸菌とか納豆菌の仲間(細菌類)なんかが3年生で登場しますが、あいつらも植物でも動物でもないメンバーです。

藻類は植物でない? 日本植物生理学会 植物Q&A
藻類とは? -実は曖昧な藻類の定義。その理由に迫る-

コメント

タイトルとURLをコピーしました