2114 最小目盛の10分の1問題のその後

 旧ブログで「最小目盛りの10分の1」の謎という記事をアップしたのが2016年3月。記事自体はこのブログに移転しましたが、移転の前後を通してこの過疎ブログの中では、アクセス数や反応がトップレベルに多い記事です。

 現在発行されている教科書でも、電流計や電圧計の操作のところに「最小目盛の1/10まで読む」ということが明記されている一方、2016年の高校入試で出題された電流計の目盛を読む問題では、最小目盛まで読んだ状態で模範解答としていました
 たしかに、一桁だけ目盛を深く読んでないだけで、×、0点、無回答と同じ扱いにするには抵抗があります。そういう意味では減点あたりが妥当な気がしますが、入試全体の運営で「△(減点)はしない」というルールがあれば、正解扱いにするのも首肯できます。ちょうど全国学力調査でいう「準正解」というやつ、一応正解扱いにはするけど、本物の「正解」を答えられるように指導してね、という文科省からのメッセージです。

 しかし、「間違いとは言いきれない」を「正しい=これでいい」と変換されてしまう勢力もあるようで、先日、ある問題集の模範解答で最小目盛まで読んだ状態で模範解答としているのを見つけました。具体的な著者・編集者名が書いていない問題集の中には、安価で原稿作成を依頼するため理科教育にそれほど詳しくないライターが作っているなんて話を聞いたことがあります(真偽は不明です。信じるも信じないもあなた次第)が、そうだとすると、こういうところで差が出てくるのかもしれません。
 とはいえ、普通の中学生はそれを正解と信じてしまうので、少しずつ最小目盛でOKという風潮がはびこりつつある感じも無きにしも非ず。しかし教科書にあってもなかなかそれを正面切って×にはしづらいのが令和の理科教師の弱い立場です。
 このあたりの事情を知っている先生がトラブルを避けようとしているのだと思われますが、例えば、電流計で-端子を500mAにして、目盛の上に針を重ねた状態で電流計を読ませる出題をしていることも見かけます。こうすると、最小目盛(10mA)まで読んだ状態でも、最小目盛の1/10まで読んだ状態でも240mAのように同じ答えになるので、波風が立ちません。なんというか、同業者として苦労をお察しします。

 最小目盛のどこまで読むかという話は、有効数字の考え方に基づきます。中学校では昭和44年改訂の学習指導要領では登場しましたが、ゆとりになって速攻で削られ、いまだに復活していません。しかし、高校や大学では理系なら当然のたしなみとなりますから、教科書では1/10まで読むのも、有効数字を授業ではこだわりたくなる先生がいるのもよ~くわかります。

 ところで、理科の教材・教具は、私が「あまりすごくない教材シリーズ」でしょうもないものをつくるのをあざ笑うかのように目覚ましく進化していきます。ICT化、もっというとデジタル化によって、まずは上皿天秤が電子ばかりになり、電流計や電圧計も小型のデジタルが登場し、さらにコロナ渦によって温度計はデジタルが当たり前になり、ニュートンはかりもデジタルが登場しています。

 そうして、目盛の読み方以前に、目盛そのものがめっきり減ってしまいました。そうすると、1/10まで読むのか読まないのかという議論自体がナンセンスになるという、意外な形で決着がつくことになりそうです。

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