アサガオなんですが、矢印の部分に注目する
緑色の葉の中に白っぽい部分がある。「斑(ふ)」って呼ばれる部分だ。
では、白い「斑」入りの葉に一部アルミニウム箔を巻いて、一日光合成をさせる。
するとどうなるか。
この葉をアルミニウムはくを外して
①熱湯に入れ(光合成を停止させる、また次の操作での脱色がしやすくなるように)
②湯で温めたエタノールに入れる(脱色させる)
③ヨウ素液に浸す(デンプンのありかを調べる)
すると、こうなった。
問:この実験から、光合成には「光」と「緑色の部分」が必要だということを証明しなさい。
※あえて「葉緑体」ではなく「緑色の部分」としらばっくれています。
この問いは、ぜひ自分の頭で考えてほしい。でも、「考え方」まで自分の頭で考えるのは、必ずしも効率が良いとは言えない。
そこで、一つ大切な考え方の「型」を伝授したい。
①「××があるとき」は「○○が起こる」
②「××がないとき」は「○○が起こらない」
の2つを示せばいい。
ただし、「××があるとき」と「××がないとき」は、××の有無以外の条件を変えてはならない。
たとえば、「この卵焼きがおいしいのは醤油がかかっているからだ」と証明するには
醤油をかけた卵焼きを食べて「おいしい!」だけでは足りない。
なぜなら醤油をかけなくてもおいしいかもしれないから。
醤油をかけなくてもおいしかったら、「醤油がかかっているから卵焼きがおいしいのだ」とはいえない。
そういう反論を封じるにはどんな実験をしたらいいか。
そう、あえて醤油をかけていない卵焼きを食べて「おいしくない!」ことを確かめないといけない。
この、あえて「おいしくない」ことを確かめる実験、つまり
②「××がないとき」は「○○が起こらない」
という実験をすることが重要で、しばしばこれをやらずに「××が健康にいい!」などと結論付けて消費者を騙そうとしたり、第三者に突っ込まれたりしているケースが見られるので注意しよう。
この②のような、引き立て役のような実験を対照実験という。
翻って、斑入りの葉の実験に戻って、光合成には「光」と「緑色の部分」が必要だということを、この考え方の「型」を使って、説明してみよう。
「○○が起こるには××が必要だ」ということを確かめる(証明する)には、
①「××があるとき」は「○○が起こる」
②「××がないとき」は「○○が起こらない」
の2つを示せばよい。
の○○に「光合成」を××に「光」を代入する。
「光合成が起こるには光が必要だ」ということを確かめる(証明する)には、
①「光があるとき」は「光合成が起こる」
②「光がないとき」は「光合成が起こらない」
の2つを示せばよい。
説明のために、葉の部分を次の画像のようにA~Dと分けた。
Aは光の当たった緑色の部分で、光合成が起きている。
Bは光の当たった白色の部分で、光合成が起きていない。
Cは光の当たらない白色の部分で、光合成が起きていない。
Dは光の当たらない緑色の部分で、光合成が起きていない。
①はAの部分、②はDの部分が示している。
なお、AとCにしてはいけない。Aは緑色の部分、Cは白色の部分なので「光合成には光が必要なのではなくて、緑色の部分が必要なのででは?」と突っ込まれてしまう余地があるからだ。「緑色の部分」でという光(××)の有無以外の条件を変えてはならない、というのはこういうことだ。
もちろん、だからといって白色の部分でそろえたBとCでは意味がない。だってどっちも光合成が起きてないから(笑)。
かくして「光合成が起こるには光が必要だ」ということを確かめた。
では、どうやって「光合成が起こるには緑色の部分が必要だ」ということを確かめればよいか。
これはぜひ皆さんに考えていただきたい。
この考え方の「型」は「生物の体のつくりと働き」の単元で何度も登場するので、しっかり身に付けておこう。
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