0616【動物の体のつくりと働き09】生命を維持する働き09 心臓と血管

　胃とか腸は消化系、気管や肺は呼吸系ですが、心臓や血管、リンパ管などは血液系とか言いたくなりますが、循環系といいます。まさに全身を循環して酸素や栄養分、そして二酸化炭素や不要物を然るべき場所へ運んでくれるからです。

心臓のつくりとはたらき

　循環系の中心は、言わずと知れた心臓です。まずは心臓についてみていきましょう。

　心臓は心筋という特別な筋肉でできた臓器です。その大きさは握りこぶしくらいで、重さは成人で約300gです。
　心臓の位置は左側のイメージが強いですが、胸のほぼ中央(やや左寄り)、左右の肺のあいだにあります。やや左寄りにあるため、左右の肺の形が違う(左右対称ではない）のです。
看護roo!より

　心臓の中は右心房、右心室、左心房、左心室の4つの部屋に分けられています。心房は血液を受け取り、心室は血液を送り出す役割をしています。血液は一方通行で流れており、心房と心室の間には逆流できないように「弁」があります。
　心臓の右側部分は、全身から送られてきた血液を肺へと送り出します。心臓の左側部分は肺から送られてきた血液を全身へ送り出します。これにより、全身の組織に酸素と栄養分が運搬されるのです。
　そうすると、血液を受け取る心房より、送り出す心室の方が大変ですし、右側はすぐ近くの肺に送ればいいのに対して、左側は全身に送り出す必要があるので、左側の方が大変ですね。そのため、いちばん大変な左心室の筋肉が厚くなっています。
　なお、心臓の図は前から見た図なので、心臓の右側部分は図の左側に、左側部分は図の右側にあります。
看護roo!より

　なお、心臓だって体の細胞ですから、酸素や栄養分はほしいです。そのため、心臓に血液を供給するための血管があるのです。心臓の表面にある比較的細い（というか他の血管がめちゃくちゃ太い）血管がそれです。

　心臓は、1分間に60～100回、1日で約10万回も規則的に収縮と弛緩（拍動）を繰り返し、1回の拍動で約80mL、1日でドラム缶40本分（8000L)もの血液を全身に送っているポンプの役割をしています。

　ということで正常な心臓の収縮・拡張と弁の動きを鑑賞しましょう。

血管

　心臓から送り出された血管が動脈、心臓から戻った血液が流れる血管が静脈です。
　心臓から目的地までの往路が動脈、復路が静脈というとわかりやすいでしょうか。

　動脈は、心臓の拍動によるリズミカルで勢いのある血流があります。そのため、うっかり壁が薄かったりすると破れてしまいます。そうならないために動脈の壁は厚く、弾力があります。また心臓の拍動のリズムに沿って血液が流れますので、それを利用して脈拍が測れるはずです。しかし、血液の流れに勢いがありますので、怪我して血管が破れたら血液が勢いよく飛び出て大変です。そういうこともあってか、動脈はほとんどの部分が体の奥深くを走っています。これでは体の外から脈拍を感じ取ることはできません。脈拍を測れるのは動脈が例外的に体表に近いところを通る手首や首筋などに限られます。

　静脈には毛細血管を通過した血液が常に一定の量と速度で、後から来る血液に押されてやる気なく流れます。そのため血管の壁はうすく、脈拍もありません。また、皮膚の表面近くと通る静脈も多く、そのような場合、指で圧迫することで血流を止めることができます。また、それだけ勢いが弱いので、ちょっとやそっとで逆流しやすくなるのですが、それはそれでまずいので、静脈には弁がつくられ、血液の逆流を防いでいます。

そして目的地では、酸素や二酸化炭素、栄養分や老廃物などを受け渡しするので非常に細い毛細血管が網のように広がっています。

　血管の太さ（直径）は最も太い心臓のすぐ近くの血管は2.5cm、腕の血管で5～8㎜、細動脈が0.2～0.5㎜、毛細血管の最も細い部分は約5μm（1/200mm）です。また、人ひとりの血管の長さは全部で地球２周半（約10万キロ）とも言われ、そのうち毛細血管が95％をしめます。
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