そんな中でどうして私たちは平気でいられるの?
空気の圧力が大きいことはわかりました。では、私たちはどうしてそんな中に平気でいられるのでしょうか。ゾウに踏まれているような圧力なのですよ。
答えは単純。私たちの体の中からも同じ気圧で押し返しているから。
前回の吸盤の実験は、凸凹している壁ではうまくいきません。吸盤と壁の間にも空気が入り込んでしまうためです。下敷きの実験では、下じきの真ん中ではなく、端のほうに糸をセロハンテープでくっつけて糸を上に引っぱると、下敷きはかんたんに持ち上がってしまいます。下敷きの下側にも空気が簡単に入りこむので、下敷きの上からの空気をおし返すことができるためです。
これと同じように私たちの体の中にも、外側と同じ気圧の空気がありますので、中と外では圧力の差がなく、つぶれないで済んでいるのです。
高さと気圧の関係は?
海面と山の頂上では、大気による圧力はどちらが大きいかというと、
そう、山の高さの分の空気だけ、上にたくさんの空気が乗っかっていますので、海面の方が大きいということになります。
2018年に林間学校に行ったとき、気圧計を持っていきました。海抜1500mの宿舎では850hPaでしたが、
約1800mのところでは820hPa
2000mでは800hPaまで下がっています。
このように高さによって気圧が下がるので、逆に、気圧を測ればだいたいのその場所の高さがわかります。実際、飛行機が飛んでいるときの高度は気圧計をもとに微調整しながら求めています。
坂井・惟村・新美:気圧高度計による高度測定誤差とその補正,電子航法研究所報告,No.114 2005
その後、2022年に山中湖へ行ったときのことです。標高1,000m前後の山中湖でふたをした飲みかけのペットボトルを、東京(標高10m程度?)に持ってきたら、こんなふうにつぶれていました。
そんなわけで先日も同じ実験をやってみたのだ。
気圧が低くなるとどうなるの?
気圧が低くなるとどうなるのでしょうか。
それを知るために、容器の中にマシュマロや気泡緩衝材を入れ、容器から空気を少しずつ抜いてみました。どうなるかは、過去のブログ記事をぜひご覧ください。
風船やマシュマロの入った容器の空気を抜くと…
簡易真空容器内の気泡緩衝材
とまあ、量が多いので前・中・後編に分けましたが、気圧の話に関して、「ミリバール(mb)」やmmHgなどの気圧の単位、標準気圧、さらにはトリチェリーの実験とか、いろいろとり上げたいマニアックな話題がありますので、そのうち[補講]として書きたいと思います。
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