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0750 【日本の気象9】大気の動きと海洋の影響3 季節風と海陸風

冬は北西の季節風が吹きます。

夏は南東に季節風が吹きます。というのは地理でも学習したのではないかと思います。
でも、夏と冬でどうして風向が変わるのでしょうか。

夏と冬の違いは何か。すぐに思いつくものは気温ですよね。夏は暑い、冬は寒い。

また、風向が北西と南東。真逆になっていますが、なぜ北西と南東?北東と南西じゃなんでダメなの?
これも北西と南東という違いに秘密が隠されてそうです。
日本列島から見て北西はユーラシア大陸、南東は太平洋。陸地と海の差は、北東と南西よりもはっきりしていますね。

暑いと寒い、陸地と海、この2つの要因が関係していそうです。
そこでこんな実験をしてみましょう。

水槽の中に陸地に見立てて砂、海に見立てて水を置きます。
砂と水の間に火のついた線香を粘土にさしておきます。

それを水槽の上からライトを当てて温めます。煙はどうなるでしょうか。

すると、水から砂の側に煙が流れていきます。
どうして水から砂のほうに煙が流れていったのでしょうか。

このとき、砂の温度は40℃、水の温度は35℃です。砂の方が暖まりやすいのですね。

温度が高い砂側の空気は、密度が小さいので、上昇します。
温度の低い水側の空気は、密度が大きいので、下降します。

水砂側は上昇気流ができることで、下層部では周囲から空気をかき集める低気圧となります。
側は下降気流ができることで、下層部では周囲へ空気を吹き出す高気圧となります。
したがって、下層部では高気圧から低気圧へ、水から砂へ風が吹くのです。

次に、冷却していくとどうなるでしょうか。

今度は逆に、砂から水の側に煙が流れていきました。
どうして砂から水のほうに煙が流れていったのでしょうか。

このとき、砂の温度は10℃、水の温度は15℃です。砂の方が冷めやすいのですね。

温度が高い水側の空気は、密度が小さいので、上昇します。
温度の低い砂側の空気は、密度が大きいので、下降します。

水側は上昇気流ができることで、下層部では周囲から空気をかき集める低気圧となります。
砂側は下降気流ができることで、下層部では周囲へ空気を吹き出す高気圧となります。
したがって、下層部では高気圧から低気圧へ、砂から水へ風が吹くのです。

ということで
下層では加熱すると水から砂へ風が吹き、冷却すると砂から水へ風が吹くのです。
ここで、砂は陸地、水は海とおきかえると、地表付近では

夏は太平洋側から大陸側へ風が吹き(南東季節風)、冬は大陸側から太平洋側へ風が吹く(北西季節風)。これが季節風です。
ただし、夏は冬ほど海と陸での温度差がないので(冬の大陸ではシベリアとか-40℃を下回ったりしますから)、冬ほど強くは吹きません。

また、昼間は海から陸へ風が吹き、(海風)、夜間は陸から海へ風が吹く(陸風)。これが海陸風です。
ちなみに朝と夕方は風が弱くなる「凪(なぎ)」」となります。
高校野球でもお馴染みの甲子園球場で話題になる「浜風」もその正体は海風です。

海風と陸風(まとめて海陸風)と季節風は、時間的(1日周期、1年周期)、空間的(数100mレベル~日本列島をはさむレベル)なスケールの違いはありますが、同じしくみで吹いているのです。

このように、日本の気象は大陸だけでなく海洋からも影響を大きく受けているのです。

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