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0803 理科の指導 ー理科教育講座指導書-

理科準備室の本棚から、こんなものが見つかりました。

中学校 理科の指導 -理科教育講座指導書ー 1963 文部省
高等学校 理科の指導 -理科教育講座指導書ー 1963 文部省

文科省からの本で、指導書とは別にこんなものを見つけたからさあ大変。なんでしょう、これは。

 ちなみに「指導書」ってのは、それぞれの会社の教科書に対応した指導計画やら指導法やら参考資料やらが載っているワンセット何万もするあの本のことではなくて、「学習指導要領解説」の前身です。なので学習指導要領が改訂されるたびに文部省から出されています。写真は歴代の指導書です。右から昭和33年(184ページ)、44年(359ページ)、52年(184ページ)、平成元年(173ページ)、10年(164ページ)改訂の学習指導要領のものです。なお、本のサイズはA5版です。
 そして平成20年、現行の平成29年改訂版は、おなじみのA4サイズの中学校学習指導要領解説理科編となっています。
 こうしてみると、昭和44年の学習指導要領の分厚さが目立ちますね。ちなみに教科書図書館で昭和44年の各教科の指導書が並んで配架されているのを見たのですが、他の教科はいつもと同じ程度の厚さだったのですが、数学と理科だけがぶっ飛んで分厚かったです。さすが「現代化」カリキュラム、いかに理数に重点が置かれたかが分かります。

 さて、「理科の指導 -理科教育講座指導書ー」に話を戻しましょう。1963(昭和38年)に発行されたこの本は何なのでしょうか。

 昭和33年に試案ではない学習指導要領が告示され、中学校は昭和37年、高校は38年から新しい指導要領での授業がスタートします。もっとも教科書も、新しい指導要領が始まる前の昭和34~35年頃の時点で、33年版に近い内容の構成となっているものが多かったようです。
 そんな中で、「理科教育がその実を上げるためには、その任にあたる理科の担任教師の指導力に追うところがきわめて大きい。(まえがきより)」ということで、文部省は都道府県教委の協力を得て、昭和35年から5年間、「理科実験講座」つまり研修会を実施したわけです。
 それはそれで大きな成果を得たのですが、一方でこの頃は科学技術がどんどん進歩していく時代でしたので、昭和38年から新たに「理科教育講座」という研修会を始めたのです。で、その研修会の運用マニュアル兼テキストがこれ、ということのようです。

 で、執筆メンバーである理科教育審議会の専門部会委員の面々のお名前が載っていましたが、さすがにこの時代までくると知らない人ばかりです。だって生まれる前だし。

 「理科教育講座」という研修会がどんな感じで進めるのかというと、例えばオームの法則について講義と討議(指導のねらいと問題点の確認)→演示を伴う協議(問題点の解明と指導案の作成)→グループごとの実験(オームの法則の実験方法とまとめ方)→発表と協議(実験方法および結果の処理のしかた、全体のまとめ)と1日かけてやるという。

 いろんな意味で、今じゃできないだろうな、と思える研修会だな。

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