0818【電流18】電気とそのエネルギー3 明るさが逆転する理由
2つの豆電球X,Yがある。それを直列と並列につないでみた。電池はいずれも同じ2個直列である。
いずれも左側が豆電球X、右側が豆電球Yである。
豆電球の明るさがわかるようにしたら、写真全体が暗くなってしまったけれど、左の写真が直列、右の写真が並列につないである。
直列につなぐと豆電球Xはほとんど光っていない。「電流が流れていないのでは?」と疑いたくなるが、だとしたら、豆電球Yも光っていないはずである。豆電球Yは光っているから、電流は流れてはいるものの、豆電球を光らせるまでのパワーはない、というところだろうか。
一方、並列にすると両方光っているが、特に豆電球Xの方が明るい。あれ、逆じゃない?
どうして、直列と並列では明るさが逆転するのだろう。それを考えてみよう。
ここから計算をしやすくするため、モデルケースとしてとして、20Ωの電球Aと100Ωの電球Bがあり、電源電圧は3.0Vとしよう。これらの電球は、抵抗値が変化しないとする。
で、ここでは消費電力が大きいほど明るくなる、という前提にしておきましょう。
すると、明るさの大小を比較する代わりに、電力を比較すればよいことになります。
ちなみに、同じ消費電力でも、昔ながらのシリカ電球とLED電球では明るさは大違いですので、同じ電球だから、とりあえずこう考えましょう、という話で、厳密に突っ込まないのがお約束だ。
直列につなぐと、回路全体の抵抗は20+100=120Ω
電流は 3.0V÷120Ω=0.025A これは電球Aも電球Bも共通
電圧は 電球Aは 0.025A× 20Ω=0.5V
電球Bは 0.025A×100Ω=2.5V
(別法 3.0V-0.5V=2.5V)
電球A 電球B
電圧V 0.5V 2.5V
電流I 0.025A 0.025A
電力P 0.0125W 0.0625W
どうでもいいことですが、電圧・電流・電力を表す文字を3つ並べるとVIP になる。本当にどうでもいいな。
で、電力Pを比べると電球Bの方が大きい、つまり明るく光ることになる。
今度は並列回路。
まず、電圧は電球Aも電球Bも電源と同じく3.0V。
電流は 電球Aは 3.0V÷ 20Ω=0.15A
電球Bは 3.0V÷100Ω=0.03A
電球A 電球B
電圧V 3.0V 3.0V
電流I 0.15A 0.03A
電力P 0.45W 0.09W
で、電力Pを比べると今度は電球Aの方が大きい、つまり明るく光ることになる。
ちょうど電球Aは豆電球Xに、電球Bは豆電球Yに対応する。
直列は電源の電圧を2つの電球で分けるのに対し、並列では2つの電球がそれぞれ電源分の電圧をもらう。これは家庭用の配線が並列である話のときにも出てきた。並列の方が電圧は大きい。
電流の数字を比べても、やはり直列よりは並列の方が大きい数字が並ぶ。
当然、電圧×電流である電力も並列の方が大きくなる、というわけだ。
倹約家のAさんと浪費家のBさんがいる。それぞれ別々(並列)に暮らしていたら、浪費家のBさんより倹約家のAさんのほうが経済的に楽な思いをする。ところが、二人が結婚か何かして一緒(直列)に暮らすようになったら、浪費家のBさんの割を食って、倹約家のAさんの方がひもじい思いをする。そんなふうにたとえられないだろうか。…られない?
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