水溶液の学習に入ります。あ、いきなり「水溶液」って新しい言葉ですね。
水溶液とは「何かが水に溶けている液」です。まいったか。
じゃあ、「溶ける(溶けている)」というのはどんな状態をさすのでしょうか。では、ざらめ糖(以降「砂糖」と呼ぶ)とデンプン(片栗粉)を水に入れて、かき混ぜてみましょう。
これは、砂糖を水に入れてかき混ぜたものです。砂糖が水に溶けています。砂糖が水に溶けている液ですから、迷うことなく水溶液です。さてその特徴。
透明性
カラメルの茶色い色がついていますが、向こうが透けて見える、つまり透明です。
ここで一つ注意。よく日常会話では「水は何色?」「透明!」みたいに、透明をあたかも色の一つとして使っていることがよくありますが、この液みたいに、液の向こう側が見えている状態を、「透明」というのであって、色の有無は透明かどうかに無関係、もっというと色とは別の視点で見ているわけです。「水は何色?」と聞かれたら、水に色はないですから「無色」が理科として正しい答え方です。日常会話で厳密に使い分けるのはどうかと思いますが。
均一性
この砂糖水をメスシリンダーに入れてみました。
上の方も下の方も同じ濃さですね。上の方が薄くて下の方が濃い、なんてことはありません。砂糖は砂糖水の中を均一にちらばっています。
よくサラリーマンが宴会の席でビールをグラスにお酌するとき、ビンに残り少なくなったビールを入れる場合は「はい、〇〇さんには濃いところあげる」とかいうお約束がありますが、泡の部分を別とすれば、ビールの上部と下部で濃さに違いはありません。PISA調査などによると日本の理科の学力の高さは世界的にもトップレベルで、「水溶液の濃さはどこも均一である」という知識は当然知ってはいるはずですが、それを日常生活の文脈に適用できないという日本の理科教育の課題がここにも現れています。ちがうって
デンプンは溶けたのか?
一方こちらはデンプンを水に入れてかき混ぜました。白い。白い。真っ白い。濁っています。透明?ではありませんよね。
時間が経つと、下に白いデンプンがたまってきました。上の方は無色です。
この上澄み液をろ過したものがこちらになります。もはやただの水にしかみえません(フラグ)。
ろ液ともとのデンプンを入れた水を並べてみました。
これらにヨウ素液を加えたら…ろ液は青紫にはならないんですね。つまり、デンプンは含まれていない。デンプンは水にとけていなかった、結局ただの水だったのです。もちろん、デンプンの入った水は青紫になりました。
下にデンプンが沈殿した状態でヨウ素液をたらすと、デンプンの表面で青紫になります。
デンプンの表面は青紫ですが、その上の水層のところはまだ褐色です。水層にはデンプンが含まれていないことがわかります。
※平成29年告示の中学校学習指導要領だと、この辺りの内容は小学校でやったことになっているようですが、水溶液の粒子のモデルを考えるうえで、前提として押さえておきたいところですね。
コメント