某教材屋さんからご質問を受けました。
現場の先生より,
「気体捕集(どの置換法においても)時の「ガラス管の位置」の理由を教えてください」
という質問がございました。
中学校レベルの解説であれば,
上方置換であれば,空気より軽い気体を集めるのだから,ガラス管も試験管の奥(上方)に位置する。
下方置換であれば,空気より重い気体を集めるのだから,ガラス管も試験管の奥(下方)に位置する。
というぐらいが一般的であると思います。
これ以上,掘り下げて解説しようとすると,「気体拡散」の話になってしまうでしょうか? (簡易な解説が可能かどうか?)
気体捕集法については,化学を学習するうえでの「お作法」ともいえますが,先生のご存知の範囲で構いませんので,ご教授いただけると幸いです。
そういえば、そうですね。今まで疑問に思ったこともない内容なので、自分なりに考えてみました。
上方置換であれば,空気より軽い気体を集めるのだから,ガラス管も試験管の奥(上方)に位置する。
下方置換であれば,空気より重い気体を集めるのだから,ガラス管も試験管の奥(下方)に位置する。
もし、このルールを守らずに、上方置換のときに試験管の口付近(下方)に、位置した場合どうなるか。
軽い気体は上に行きたい。ところが上にはすでにもともと空気がある。とすると「発生した気体が上に行く」と、「もともとあった空気が下に行く」という2つの流れが同時に起こるはずです。でもそんなことが、せまい試験管(集気瓶も程度問題で同様と考える)の中で効率的に起こるだろうか?
だったら最初からガラス管を試験管の奥(上方)に位置しておけば、最初から発生した気体は上にたまっていくので、対流などを考える必要はなく、少なくとも口の近くに位置しておくよりは早く、あるいはより純粋な気体がためられるはずじゃないか…。少なくとも奥まで入れるデメリットはガラス管が10cmほど長くなくてはいけないくらいしかないのではないかと…。
もちろん下方置換でも同じ考え方です。
水上置換は気体と水の「置換」が密度差がはっきりしているため容易に起こるので奥に位置しなくてもOK。
たぶんこんな感じじゃないかと思います。(2010-07-16公開)
今日のご質問はこちら。実験教材メーカーさんからです。
気体の発生装置図(いわゆるお作法的な装置)において,活栓つき漏斗のガラス管の先を液中につけていますが,このガラス管を液中につける理由はあるのでしょうか。
逆流の原因になるのではないでしょうか? (実験教材メーカー)
三角フラスコの中で発生した気体は、液面を押して逆流させる(気体よりはるかに重い液体を持ち上げる)よりは、ただの穴(管)から外に出て行った方が楽です。
活栓つき漏斗は三角フラスコの中へ入る向きに一方通行、つまり「入口専用」です。 もしこのガラス管が短くて液中に入っていないと、特に漏斗がからのときなど、気体が発生したときに漏斗側へ流れる危険が生じます。長いガラス管で液面の中に入っていれば、それは起きません。
三角フラスコには、活栓つき漏斗のほか、もう一本、気体の「出口」用に使われるガラス管がつながっています。こちらは短く、液中にガラス管をつけていません。気体はそちらに流れるので、質問者の懸念する逆流の原因にはなりません。(出口側のガラス管をふさいでいなければ、の話ですが)
2012-11-29公開
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