また質問・相談ネタ。
塩酸と水酸化ナトリウムの中和実験について、こんな質問がありました。
2冊の実験解説書で塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和実験の解説をみたのだが、濃度調整がかなり違うみたいだけれど、どちらの方がよいのか?
またそう重箱の隅をつつくようなことを…と思いながらも2冊の解説書を読む。どちらも水酸化ナトリウム水溶液の濃度は約0.5mol/L、これに対し塩酸の濃度が解説書Aは0.7mol/L、Bは0.2mol/Lとかなり開きがある。
どっちでもいいんじゃない?と投げやりに思いながらも、塩酸を調整しながら実験開始。
すると、解説書Aの濃度では、あるところで1滴塩酸をたらしただけで完全な青から完全な黄色に変わることが多く、ちょうどいい緑色をつくりにくいことがわかりました。
一方、解説書Bの塩酸濃度では、注意深く1滴ずつ塩酸をたらしていけば緑色を通り越してしまうことはほとんどありません。(1滴たらすごとにビーカーを振って色を見ることはもちろん必須ですが)
つまり、最後に塩酸を加えて緑にするので、あまり塩酸の濃度が濃いと(解説書Aの濃度だと)1滴の塩酸に含まれる水素イオンの量が多すぎて、水酸化物イオンと完全に中和してなお余ってしまいがちなわけです。一方、塩酸の濃度が薄ければ水素イオンを小分けにして加えることができるので、中性ができやすいということです。自分でやっていて、なるほどな、と思いました。
解説書Aでは塩酸をうすめて使うアイデアも紹介されてはいますが、その操作の手間や理由づけを考えると、最初からその必要のない、解説書Bの濃度での実験に軍配が上がると考えます。
ちなみに、この実験では塩酸の駒込ピペットは最初に10mLビーカーにとるので、10mLのものを使いました。約15滴で1mLになりました。
頭の中で考えただけでは「どっちでもそんなに変わらないだろう」と思っていたのですが、実際にやってみると、大きな違いがありました。やっぱり、実際にやってみることは大切なんですね、といまさらながら思った次第です。
コメント