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1285 大正時代の薬用植物標本 ~津村藥用植物園の腊葉標本の発見~

 校内で発見されたいにしえの教材をもとに時代を特定し、当時の教育を探る、さながら「教材考古学」ともいえる研究報告、第2弾は津村藥用植物園の腊葉標本です。2021年の紀要にまとめました(←リンク先からダウンロードできます)。

 今回の研究対象おたからがどんなものかはすでに4回に分けて紹介しました(その1その2その3その4)。で、標本のラベルに採取年月が書かれていたため、前回とは違い、時代の特定は容易です。なので、標本を整理した後はラベルの記載事項に関して,現在とは異なる学名や採取地の地名,そしてラベルにあった「津村藥用植物園」に関しても,その詳細について,文献や絵葉書などの資料をもとに調査したんです。

で、主要な文献として
五十嵐彰:幻の津村薬用植物園-島屋敷遺跡から検出された近現代遺構を端緒として,東京都埋蔵文化財センター研究論集 17,41-57,1999
はネットになくて東京都立図書館まで足を運んだ一方で、
津村薬用植物園:津村薬用植物園一覧,発行年不明 (たましん地域文化財団/デジタルアーカイブ)
なんかはまさかのローカルなデジタルアーカイブで発見。

そしてツムラ研究所の絵葉書は、この手の絵葉書やらパンフレットなどを扱う古書店で見つけ、15000円というとんでもない値段にビビりながらも、「迷う理由が値段なら買え、買う理由が値段ならやめとけ」という言葉を思い出し、ええい!とこのためだけに買っちまいました。今も引き出しの奥底に眠っています。絵葉書は5枚あり、封筒に入っていますが、報告書はスペースの関係で封筒と絵葉書3枚だけ載せました。せっかくですので封筒と5枚の絵葉書を全部ここにアップします。


 そうそう、この標本は縁あってミュージアムパーク茨城県自然博物館に寄贈したのですが、そのときに1枚だけ受け取れないといわれた標本がありました。「けし」の標本です。そう、たとえ貴重な博物館資料だとしてもあってはいけないものなのです。
 ということで、管轄の保健所に相談したら、担当の方もびっくりして対処に困ったようです。東京都福祉保健局健康安全部薬務課麻薬対策担当の方を紹介してもらい、後日学校にいらしたお二人の麻薬取締員に発見時の経緯などを説明し(あとで供述調書にサインをしたのでこれは「取調べ」になるのか…)、「けし」標本を任意提出したのでした。
 …あ、もちろん、親切に対応していただきましたし、つかまっていませんよ。ですが、標本の方は焼却処分らしいです。

 そんな当時のことを思い出しながら、咳が止まらない私はツムラの麦門冬湯をのむのでした…。

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