1182 酸性雨の影響を調べよう
石炭や石油などを燃やすと、硫黄酸化物や窒素酸化物が空気中へ放出され、強い酸性をしめす雨が降ります。これが酸性雨です。酸性雨が降るとどのような影響があるのでしょうか、調べてみましょう。
建物や銅像への影響を見てみよう
屋外にある銅像や石像を見てみましょう。よく見ると、たてに筋が入っていて、人間が涙を流しているように見えるものがあります。これは、酸性雨が銅像や石像の表面を流れていきながら少しずつ溶かしていくために起きています。このような現象はニューヨークの自由の女神像やギリシャのパルテノン神殿など世界各地の歴史的な建造物でも起きています。
また、橋の下や、集合住宅の非常階段付近などで、コンクリートでできた「つらら」のようなものがないか探してみましょう。これは「コンクリートつらら」と呼ばれるものです。コンクリートのひさしや屋根に小さなひび割れが入り、そこへ雨水がたまると、雨水はひび割れの中でコンクリートの成分を溶かしながらつららのかたちを作っていきます。
コンクリートつららがあるからといって、その建物が危険だというわけではありません。しかし、酸性雨の影響でコンクリートつららができやすくなると言われています。
銅像の涙にみえる筋「アシッドライン(acid=酸 line=線)」というそうな。酸性雨は「コンクリートつらら」の成長を促進しますが、コンクリートつららのできる原因は酸性雨だけ、とは限らないようです。
植物への影響を調べよう
お皿を4枚用意して、脱脂綿を5~7ミリ程度の厚さにしき,モヤシ(ブラックマッペという品種)の種を20粒ずつのせます。それぞれの脱脂綿にお酢をそのまま入れたもの、お酢を10倍に薄めたもの、水、そして雨水を脱脂綿がヒタヒタにぬれる程度に入れておきます。脱脂綿が乾いたら水を加えましょう。
このようにして4~5日たったら、それぞれの皿で発芽した数を数えてみましょう。また、発芽したものの大きさも、くらべてみましょう。
雨水以外の3つの皿をくらべると、発芽した数は水がいちばん多く、次に10倍に薄めたお酢、そのままの濃さのお酢の順に減っていったのではないでしょうか。お酢が濃いほど酸性が強いため、発芽はしにくくなるのです。
世界には酸性雨の影響で木が枯れてしまったとされる森や、魚が姿を消してしまったといわれる湖も多数あります。酸性雨は生物にとっても深刻な影響をもたらすのです。
実験はがハツカダイコンでもいけます。ただ、発芽までの時間がもやしより少し長くなります。
薄めるお酢の濃度ですが、2倍希釈だとお酢そのままと同じように芽は出ませんでした。一方、ハツカダイコンを100倍希釈で実験したときは水よりも発芽率・芽の生長がよく、「お酢が健康にいい」ことが図らずも証明されてしまいました。
酸性雨といえばドイツのシュバルツバルト(黒い森)。ここでは酸性雨で森が枯れてしまった、といわれていますが、実はそうではないという説もあるらしく、現行では見送りました。
(朝日小学生新聞「もっとわくわく理科タイム」2008.4.2付)
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