ステップ1で化学物質などによる危険性または有害性の特定ができたころで、ステップ2、その特定された危険性または有害性によるリスクの大きさを見積もっていきましょう。
GHSをみると、リスクとして危険性及び健康有害性の他に、環境有害性というのもありますが、リスクアセスメントは労働者の安全衛生を守るため、環境有害性については扱いません。危険性及び健康有害性についてチェックしていきます。
そしてリスクの見積りは、危険性と有害性それぞれについて行います。ではどうやって見積もるかという話になってきます。危険性については事故が起きやすさと起きた時の被害の大きさから見積もる方法がありますし、有害性についてはリスクアセスメント対象物質の気中濃度を測定し、ばく露限界値と比較する方法(実測法)によりリスクを見積もることができます。とはいえ、二酸化炭素ぐらいならともかく、軟十種類もあるリスクアセスメント対象物質のそれぞれについて気中濃度を測定するなんて、そんな道具もないし、それよりは水溶液が誤って手につくようなリスクの方が圧倒的に大きそうな感じがします。
そうすると、どれがいいの?ということになりますが、リスクアセスメントの説明会などで聞いてみると「それぞれの事業所にあった方法でやってください」と、聞こえはいいけど何も教えてくれなかった、なんて話を聞きます。
化学物質管理者講習テキストなんかでも、
リスクの見積り及びリスクアセスメントの方法は、労働者の健康を守るために、事業者自らの責任で選択・実行するものであり、化学物質管理者はその技術的部分の遂行に責任がある。
と、義務と責任だけ押し付けて、具体的にどうしたらいいのか教えてくれません。
ただ、リスクを見積もる支援システムは無料のものだけでも充実しているんだよな。それがかえってどれを使えばいいのか悩むんだけど。
とりあえず初心者向けのツールとしては、危険性については化学物質による爆発・火災等のリスクアセスメントのためのスクリーニング支援ツールが対話式でわかりやすそう。有害性についてはコントロール・バンディングなんかがある。そして危険性・有害性の両方をいっぺんに調べるにはCREATE-SIMPLEが定番みたい。
ということで、次回から3回にわたってそれぞれのツールを試してみよう。
化学物質のリスクアセスメントの切り札登場!? CREATE-SIMPLE ver3.01 リリース
屋敷・浜崎・稲寺:実験室における化学物質管理─国内法令と富山大学薬品管理支援システム(TULIP)の紹介,Toyama Medical Journal Vol. 30 No. 1 2019
まとめ
特定された危険性または有害性によるリスクの見積もりをするには、無料のシステムがいくつもあるので、それを使うことになりそうです。
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