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0277 力の矢印の池袋駅型表記

水中にある泡にかかる力を考えてみましょう。

泡が周りの水から受ける水圧を矢印でかくとき、図のア・イのどちらで表しますか。

では、泡(空気)が周囲の水を押す力は、図のウ・エのどちらでしょうか。

たぶん、ア・ウを選んだ人が多いと思います。実際に教科書などではそういうかき方の図を見かけます。むしろ、イ・エのような図を描いているケースを私は知りません。

ところが、「力の矢印」は矢印の根本が作用点を表す、という決まりがあります。このルールから考えると、作用点は水と空気の境界面ですから、「力の矢印」として正しい描き方をしているのは、実はイ・エなのです。

ただ、どうでしょう。エはまだ泡が周りの水を押して膨張するようにみえますが、イだと泡自らがしぼもうとしている感じがします。

アとウをいっしょに描いたオ、イとエをいっしょに描いたカを比べてみましょう。

オは泡の中と外から押されている感じがします。カは泡を中と外から引っ張り合っている感じがします。
ここで、力の矢印の正しい描き方をしているカ(「ちから」じゃなくてかたかなの「か」)をよく見て考えてください。内側(空気)からはたらいている力、外側(水)からはたらいている力はそれぞれ赤と青のどちらか。

 内側からかかっている力が青、外側からかかっている力が赤です。
 つまり、内側からかかっているはずの力が泡の外側に、外側からかかっているはずの力が泡の内側に描かれてしまうのです!
 これではまるで「東が西武で、西・東武♪」な池袋駅ではないか!ということで、これを私は「力の矢印の池袋駅型表記」と呼んでいます。

 力の矢印では引くのか、押すのか、つまり力を出す側と受ける側の位置関係までは表現できないのですね。
 いかにも混乱を招きやすく、注意が必要なところです。

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