2020 鉄と硫黄に代わる2種類の物質を反応させる実験の検討 ―銅と硫黄、銀と硫黄の反応―(中編)

鉄と硫黄の代わりになる化学変化

鉄と硫黄の代わりになる化学変化の条件

 鉄と硫黄の代わりになる化学変化を探すにあたって、どのような条件があるでしょうか。
 まず、学習指導要領からのオーダーである「2種類の物質を反応させる実験」ということで、反応物は2種類の物質、生成物は1種類の物質であることが求められます。できれば、後の学習でこの化学変化を原子や分子のモデルを用いて考えられるように、簡単な化学変化が望ましいので、現実的には反応物の2種類の物質はどちらも単体となるでしょう。
 また、反応前後にで性質が違うから別の物質になった、と考察できるように、反応前後の物質の色や形状などの違いが明確であることが求められます。炭酸水素ナトリウムの熱分解みたいに、白い粉を加熱してもやはり白い粉だった、だけだと「本当に別の物質になったの?」と疑われます。
 さらに、反応物の選定にあたって、酸素が関係する反応は、「○イ化学変化における酸化と還元」のところでやる、つまり「○ア化学変化」のところでは使えないのでこれは除外します。
 そして、中学生でも安全に扱える物質であることも大切な要件です。例えば、銅と塩素から塩化銅を作る反応は塩素の扱いが難しいです。鉄と硫黄の代わりに銅と塩素で実験しましたが、生徒が塩素を吸って体調不良を訴えた、と言ったらシャレになりません。
 つまり、酸素、塩素がダメ、フッ素や臭素など他のハロゲンも有害性が引っかかる。窒素は反応に乏しい…などと考えると物質の一つは硫黄以外の選択肢はないといっていいでしょう。
 これに何らかの鉄以外の金属を反応させることが候補となります。

硫黄と反応させる金属の検討

 では、硫黄と反応させる金属には何がいいのでしょうか。
 まず銅が考えられます。すでに加熱する実験方法が確立しています。これをマイクロスケール化することを検討してみたいと思います。
 銀も有力候補です。シルバーアクセサリーが温泉で黒変して硫化銀になる身近な例もあるので扱いやすいでしょう。
 銅、銀ときたら金ですが、金はそもそも硫黄と反応しないので、使えません
 亜鉛やマグネシウム、アルミニウムも検討しましたが、いずれも硫化物に難があります。硫化亜鉛は劇物ですし、硫化マグネシウム、硫化アルミニウムは加水分解してしまう不安定な物質です。他にもアルミニウムの場合、テルミット反応を思い出していただければわかりますが、大変激しく反応するので、危なくて生徒実験には使えません。
 異常のことから銅と硫黄、銀と硫黄の反応を検討しました。

銅と硫黄の反応 ~ マイクロスケール化

銅と硫黄の反応 ~ マイクロスケール化 (1)

 試薬の分量を減らすために使ったのが、顕微鏡観察で使う、ホールスライドガラスです。ホールスライドガラスの凹んだところに銅や硫黄を入れ、カバーガラスをかけて、電気コンロで加熱しました。

銅と硫黄の反応 ~ マイクロスケール化 (2)

 銅は金属片、粉末、網のそれぞれで実験してみましたが、いずれも黒くなりました。
 ただし、黒くなった硫化銅の導電性を調べてみたところ、電流が流れました。反応前の金属の銅も当然電流が流れますから、反応の前後で性質が変化しません。これは鉄と硫黄の代わりになるかを検討するにあたり、大きな痛手となりそうです。

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