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0518【化学変化と物質の質量1】化学変化と質量の保存(前編)

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…嘘です。ごめんなさい。ほんの出来心(思いつき)です。
気を取り直して、

スチールウールを燃やす前と燃やした後で質量を比較すると、増えています。その実験の考察では、空気中の酸素とくっついたから増えたと考えました。とはいえ、あの実験では反応した酸素の質量を調べてはいませんでした。
でも、燃やした後と燃やす前の質量を引き算すれば、それが反応した酸素の質量という気もします。
これは、
 鉄(スチールウール)の質量+酸素の質量=酸化鉄(燃えた後のスチールウール)の質量
ということになりますが、、実際どうなのでしょう。

鉄の酸化の反応に特定せず、化学変化一般について考えてみます。ということで課題。

課題:化学変化の前後で、全体の質量はどうなるのだろうか

[予想]
 鉄(スチールウール)の質量+酸素の質量=酸化鉄(燃えた後のスチールウール)の質量が正しいなら、化学変化の前後で、全体の質量は「変わらない」ということになります。さて、どうでしょう。

[構想]
 では、この課題を解決する実験を考えてみましょう。「化学変化の前後で、全体の質量はどうなるのだろうか」というのだから、ある化学変化を起こすのですが、その前と後に質量を測ればよいわけですね。
 あとは取り上げる化学変化のセレクトですが、『中学校学習指導要領解説 理科編』では、「反応が起きたことが捉えやすく質量を測定しやすいものがよい。」とあります。付け加えるならば、時間がかからず、簡単に反応が起こるものがよいですね。ガスバーナーで加熱、なんていうのはちょっと遠慮したいところです。

[実験]
ケース1 硫酸H2SO4と塩化バリウムBaCl2水溶液を混ぜて起こる化学変化
反応前と反応後 いずれも114.14gと変わっていません。

そうだ、京都へ行こう。じゃなかった、動画を撮ろう。でもう一回同じ実験を。

やはり質量は変わりませんね。

ちなみに、混ぜると一気に真っ白になりましたが、それをしばらく放置すると、白い物質が下にたまっていきます。

これを沈殿(ちんでん)といいます。一方、上部は無色透明の液体になっていきます。沈殿した物質は硫酸バリウムBaSO4です。
H2SO4 + BaCl2 → 2HCl + BaSO4

ケース2 ヨウ素液にチオ硫酸ナトリウムを加えて起こる化学変化
ヨウ素液はいつものデンプンを調べるときに使う褐色のアレです。チオ硫酸ナトリウムはハイポと呼ばれ、水槽で魚を買っている人なら、カルキ抜きとしてご存知かもしれません。

どうなるかは動画で見てみましょう。

この、見事に色が消える変化は、「コーラとCCレモン」「午後の紅茶ストレートとレモンウオーター」の組み合わせで色が消える!という化学マジックの種です。実際はコーラや午後ティーの代わりに、ヨウ素でそれらしい色を加えて本物らしく見せ、それにCCレモンやレモンウオーターで(こちらは本物)のビタミンCでヨウ素を還元したのです。以前のブログも参照
…とすっかり本題を忘れてしまいましたが、質量は66.31g→66.31gと、まったく変わっておりません。

[考察]
ケース1、ケース2、いずれの化学変化においても、その前後で、全体の質量は変わりませんでした。
このことから、化学変化の前後で、全体の質量は変わらないといえます。


[補足]
「化学変化の前後で、全体の質量はどうなるのだろうか」という課題に対し、「化学変化の前後で、全体の質量は変わらない」という課題に正対した結論が出ました。課題は解決したわけです。

さて、この結論、「化学変化の前後で、全体の質量は変わらない」質量保存の法則と呼ばれています。「保存」という言葉に違和感を持つ人もいると思いますが、理科では量が変わらないことを「保存」と表現することがよくあります。保存するから変わらないわけですしね。

で、よく考えてみると、化学反応式を立てるときに係数合わせを必死に行ったように、化学変化が起こっても、原子と原子のくっつき方が変わるだけで、原子の種類や数が変わるわけではありません。ならば質量が変わるわけないじゃないですか、という言われてみればもっともな話がこの法則の本質です。

なので、化学変化だけでなく、状態変化でも質量は変化しません。物質が水にとけるときも、質量は変化しません。いずれも原子の種類や数が変わっていませんからね。

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