0499 【化学変化09】化学変化における酸化と還元4 酸化銅の炭素による還元

私たちは鉄や銅などの金属は、酸化物などではなく単体の金属で使っています。
そりゃ、赤茶色になったボロボロにさびた鉄で橋など作ろうとしたら重さに耐えられそうにありませんから。

しかし、鉄鉱や銅鉱は単体ではなく酸化物や硫化物などの姿で産出します。
たとえば、赤鉄鉱(Hematite)や磁鉄鉱(magnetite)は酸化鉄です。

銅鉱は酸化物よりも硫化物のものの方が多いです。その数少ない酸化物は赤銅鉱(cuprite)Cu2Oや黒銅鉱(tenorite)CuOがあるのですが、画像はもっていません。いわんや実物をや。

なので、こいつらから単体の鉄や銅を取り出さなくてはなりません。

課題:どのようにして酸化物から酸素を取り除くのか。

 中学理科では酸化鉄はアンタッチャブルな存在なので、しらばっくれたいと思います。
 また、銅鉱は酸化物より硫化物ですが、酸化の話をしていたところなので、酸化物、それもCu2O、CuOとあるうちのCuOの方を攻めていきたいと思います。
 そして、その酸化銅ですが、単純に加熱しただけでは銅と酸素というふうにわかれてくれるわけではありません。

 酸化銅を加熱しても銅と酸素に分かれてくれないと書きましたが、
どうも、酸化銅(Ⅱ)・CuOは融点1026℃以上に加熱すると,熱分解して酸化銅(Ⅰ)・Cu2Oになるらしいのです。
  4CuO → 2Cu2O + O2
そして1000℃以上では,酸化銅(Ⅱ)より酸化銅(Ⅰ)のほうが安定というはなしもあります。
 加熱後の粉末が茶色というよりは赤っぽくて、しかも磨いても金属光沢が見られないってことは、
銅Cuではなく酸化銅(Ⅰ)Cu2Oができたってことではないのかな…。
 だとすると火力は強すぎない方がよいってことですね。

ではどうするか。

銅と酸素が分解しない、つまり別れないのは、銅と酸素の相性がある程度いい感じだから。
それなら銅より酸素との相性がいい原子がやってくるとどうなるか。銅を捨ててそっちとくっつきそうだね。

そしてそれは誰か。
水や二酸化炭素って酸化物としてよく出てくるけど…水素や炭素はどうだろう。
水素は気体で扱いにくいので、固体(粉末)の炭素で今回はやってみよう。

つまり、酸化銅と炭素を混ぜて加熱すると、きっと炭素が酸化銅から酸素を奪って二酸化炭素になるはず。
すなわち、銅が酸素と別れられるはずだ。

てことで、酸化銅CuO

そして、炭素C

どちらも黒いですが、並べてみると微妙に色が違います。酸化銅は少し灰色がかっているような、炭素は真っ黒ですがちょっと光った感じがしなくもないかなと。

そして酸化銅と炭素を試験管に入れ、加熱する。そうそう、加熱する試験管には気体誘導管がついていて、その先に石灰水の入った試験管があります。

ガスバーナーの炎は水色の三角形が見える酸素多めの強火で。

加熱の様子は動画でどうぞ。

 細かいことですが、加熱直後は黒い粉末はずり落ちていきます。これは熱によって空気が膨張することで誘導管の方への空気の流れができたためです。

 それより、加熱してどうなったか。
まず、石灰水の変わり果てた姿をご覧ください。左が気体を通す前、右が気体を通した後です。

白く濁りました。つまり、二酸化炭素が検出されたわけです。

そして、加熱前と加熱後の試験管の中身の様子。

たまに試験管が熱で形することがありますが、ドンマイということで。

それはさておき、加熱後の中身をろ紙の上に取り出して、金属製の薬さじの「はら」の部分でこすってみる

ちなみに生徒が実験したときの試験管とみがいて光った例。
画像を拡大したり、目を凝らしてよく見ると、キラキラ光っていることがわかります。

金属光沢、この色、そして元が「酸化銅」というところから、この物質は銅と推定できます。
(というか、この化学変化で登場している原子の種類からして銅としか考えられないので「断定」できるといってもいい。)

したがって、この化学変化全体を見ると
反応物が酸化銅と炭素
生成物が銅と二酸化炭素

酸化銅 + 炭素 → 銅  + 二酸化炭素
2CuO +  C  → 2Cu + CO

ここで酸化銅は酸素を奪われて銅になりました。

結論:すでに酸化している原子よりも、もっと酸化しやすい原子を用意し、そっちを酸化させればよい!

※昼メロ・酸化銅の還元も併せてチェックしておこう。

このように酸化物が酸素を奪われる化学変化を還元といいます。
一方、炭素は酸素と結びついて二酸化炭素になった、つまり炭素は酸化されたわけです。
このように還元は酸化と同時に起こるのです。

 ここのくだり、化学専攻にも関わらず、前々からひそかに疑問に思っていたのですが、
 酸化銀の熱分解  2Ag2O → 4Ag + O2 も「酸化物(酸化銀)が酸素を奪われる化学変化」といえますが、これは「還元」でしょうか。
 定義としては「還元」であっているように見えますが、でも、もし、この化学変化が「還元」なら、酸化銅における炭素のような酸化された存在がなく、「還元は酸化と同時に起こる」が成り立たなくなってしまいます。あれれ?
 そんなわけでこの化学変化は「分解」とされていますが(これに異論はない)、「還元」の仲間に入れてもらえない、そもそも酸化・還元の文脈では酸化銅のこの反応を登場させない、俎上に載せないのが現状です。
 一方、「還元は酸化と同時に起こる」のに「酸化は還元と同時に起こる」のではなく、酸化単独でも起こりうるという、酸化と還元の間にある非対称性も気になるところです。
 これは思うに… おっと、誰か来たようだ。


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