1944 「光合成に必要な物質」どうするか

 光合成に必要な物質には何があるだろうか。という課題に対して、二酸化炭素だとあたりをつけ、オオカナダモがあるときは二酸化炭素がなくなったが、ないときは二酸化炭素が残ったままなので、光合成には二酸化炭素が必要だという従来の論理展開、以前からモヤモヤがあったのですが、そのモヤモヤを自分なりに言語化したのが、1719 まず第一に光合成とは何か。by海原雄山 でした。

 そういう微妙な想いをもち続けていたのですが、運の悪いことに、今年は2年生を担当することになり、さらに生物領域を担当することになり、そしてこの授業回がやってきたのです。さて、どうやって授業していこうか。

 「植物の体のつくりと働き」のところは光合成の場所で、光合成に必要な物質で、呼吸で、蒸散でと多くの実験で、対照実験を用いて結果から結論をロジカルに導いていきます。

 「考察って何書くの?」と考察の指導の話は以前もしましたが、最近、もしかしたら考察って実は簡単なんじゃないかという気がしてきました。結果というスタートがあり、結論(課題への答え)というゴールも明確にあり、その間を結ぶだけですから、意外に考察の振れ幅というか自由度ってあるようでないように見えます。だいいち、教科書に示された実験手順は、ちゃんと課題が解決できるように、考察ができるように作られているのですから、むしろ考察は顕微鏡やガスバーナーの操作のようなマニュアル通りの手順を踏むことができる生徒ならできて当たり前なのではないかと。考察は「思考・判断・表現」ではあることは認めますが、ある程度慣れてくると、特に今回のような対照実験で証明する話などは、フレームワークのような技能スキルに落とし込めるようにも思えます。あ、プロセス・スキルズ
 怖い(難しい)のは、課題を解決する考察ではなく、観察した事象から課題を発見することではないでしょうか。考察では課題を解決するために視点がかなり絞られますが、課題の発見では特に視点の縛りはない。だからこそどんな視点で事象を観察すればよいのか、生徒も迷うし、教師も自信をもって指導できない。一方、課題を発見する問題などは学力調査を除けば入試などの公式な試験には採点の便もあって出題しにくいのでうやむやにされてしまう…。そういうところはあると思います。
 てか、この話は別の記事でいつか書こうと思っていた話でした。

なので、実際の授業では、こんな感じで行きました。
前時までに伏線として、対照実験を使った考察のパターンをマスターします。

で、当該の授業では前回までの流れ⇒課題⇒二酸化炭素の仮説…ここまではいいのですが、そこから先が勝負です。

具体的な実験操作の前に、仮説を確かめるための作戦を立てます。
仮説が 光合成には二酸化炭素が必要である なのだから

光合成をしているときは二酸化炭素が必要で、光合成をしていないときは、二酸化炭素はいらない。
つまり、光合成をしているときだけ、二酸化炭素が減っていれば、光合成には二酸化炭素が必要であると言えそうです。

ここで、二酸化炭素の減少については石灰水やBTB液で判別が可能。
光合成は…というと、小学校で習った如く「葉に光を当てれば起きる現象」としておく。

もちろん、この光合成の定義では、あのときの海原雄山だったら容易に突っ込めます。「葉に光を当てれば二酸化炭素がなくても光合成だというんだな」と。だからといって「二酸化炭素のある中で葉に光を当てれば起きる現象」だと長すぎるし、そもそもネタバレです。

で、従来の実験を行うわけですが、実験を行う前に、もし仮説が正しければ実験結果がどうなるか、という予想を立てて行います。
結果が予想と一致すれば、やはり仮説は正しかったということで、考察がはかどります。

仮説が正しければ実験結果はこうなるはずだと予想して、実際の結果がそうなったら、考察は終わったも同然なのですよね。というか、結果が出る前に考察をしたようなもんだから…。

授業してみて、やっぱりもやもやは残るけれども、これはこれでしょうがないかなとようやく思えるようになりました。

だって、筋を通して
①二酸化炭素のある中で植物に光を当てるとデンプン(または酸素)ができる。
②二酸化炭素のない中で植物に光を当ててもデンプン(または酸素)ができない。
という実験を示そうとしても、②が大変そう。水酸化ナトリウム水溶液で、乾燥空気中に含まれる0.04%の二酸化炭素をどこまで減らせるんだろう?

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