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0547【生物と細胞2】顕微鏡の操作(前編)

 1年生では双眼実体顕微鏡を使いましたが、倍率が20~40倍のものが多く、もう少し高倍率のものを見たい時があります。そんなときはこちらの顕微鏡を使います。
 左の鏡筒上下式が古くからありますが、右のステージが上下するタイプのもあります。が、両者に本質的な違いはありません。
 

 学校では長い間このタイプの顕微鏡だけが台頭していて、その後(平成に入ったころ?)双眼実体顕微鏡が徐々に登場してきたため、顕微鏡といえばこのタイプのものをさすのですが、ではこれを双眼実体顕微鏡ではなくこのタイプの顕微鏡だと示すにはどう呼べばいいか。これが難問です。
 一般にはただ「顕微鏡」といわれることが多いかと思いますが、これだと双眼実体顕微鏡も含む言い方です。「光学顕微鏡」も、双眼実体顕微鏡だってレンズのような光学系はあるので適切ではありません。「鏡筒上下式顕微鏡」というのだって、よく考えたら双眼実体顕微鏡だって鏡筒を上下します。「普通の顕微鏡」というのも「双眼実体顕微鏡はふつうじゃないのか!」といわれそうです。双眼実体顕微鏡は反射光を使っていますが、こっちは透過光をつかっているので「透過型顕微鏡」というのは間違いではないのですが、どうも電子顕微鏡っぽいし、中学校現場ではあまり使われない言葉です。
 かくして、今日も悩むのだった…。

 追記(2023/8) 顕微鏡工業会のサイトを見ると、正立・倒立・実体顕微鏡と大別され、普通の顕微鏡は、正立顕微鏡というらしい。

各部の名称

① 接眼レンズ  ② 鏡筒  ③ 調節ねじ  ④ レボルバー  ⑤ 対物レンズ  ⑥ アーム  ⑦ クリップ  ⑧ しぼり  ⑨ ステージ  ⑩ 反射鏡  ⑪ 鏡脚

いくつか補足
④レボルバー(revolver) は、対物レンズの倍率を替えたいときに回す部分。対物レンズを持って回さないように注意。ちなみに回転式拳銃を日本語では「リボルバー」と呼ばれることが多いですが、英語はどちらもrevolverです。どちらもrevolve(回転する)しますからね。
⑧しぼり は、ここの部分を回転させると、顕微鏡に入る光の量を調整できます。

⑩反射鏡 は、多くの顕微鏡では両面になっていて、片面は普通の平面鏡で、もう片面は光をたくさん集めるように凹面鏡になっていたり、あえて光を入れないためか、変なすりガラスっぽくなっていたりします。いずれにしろ、2つの面を使い分けて使うのが上級者。

観察するもの

スライドガラスとカバーガラスを使って

プレパラートを作ります。

プレパラートのつくり方は
①スライドガラスに試料を載せる。
②試料によってはスポイトで水(もしくは染色液)をたらす。
③ピンセットを使い気泡が入らないように、カバーガラスを端からゆっくりかぶせる。
④カバーガラスから水がはみ出たら吸い取り紙(ろ紙を小さく切ったものなど)で吸い取る。

なお、押さえたりするのには柄つき針が便利です。


てやんでぇ、こちとら急いでるんだ、いちいちこんなの作ってらんねーぜ!という江戸っ子な方には、永久プレパラートというものもあります。

ところで、スライドガラスやカバーガラスと呼ばれていたものが、いつのまにかプレパラートと呼ばれるようになるので、その区別がよくわからない人も出てきます。
スライドガラスやカバーガラス⇒パン
観察する対象⇒ハムとかチーズ
プレパラート⇒サンドイッチ

パンとサンドイッチの違いだよ、といえば分かってもらえるのではないでしょうか。

操作法

①対物レンズを低倍率のものにしておく。
②接眼レンズをのぞきながら、反射鏡を調節して、視野が均一に明るく見えるようにする。
③プレパラートをステージに載せ、クリップでとめる。
④真横から見ながら調節ねじを回し、対物レンズをプレパラートにできるだけ近づける。
⑤接眼レンズをのぞいて、調節ねじを回して対物レンズをプレパラートから遠ざけてピントを合わせる。
⑥絞りを回して、観察したいものが最もはっきり見えるように調節し、視野の中心にくるようにする。

最大のポイントは④⑤
これは、対物レンズがプレパラートにぶつかってカバーガラスを割ってしまうという悲劇を防ぐため。
この悲劇が起こる原因は、接眼レンズで覗きながら、対物レンズを近づけていくから。
 それを防ぐには、接眼レンズで覗くときは、対物レンズを遠ざけていくときだけにしよう。
 その前に、対物レンズをプレパラートに(近すぎてピントが合わなくなるところまで)近づける必要がある。
 でもどこまで近づければ近すぎてピントが合わなくなるかはわからないのでギリギリまで近づける。
 かくしてこういう操作手順となりましたとさ。めでたしめでたし。

 顕微鏡については、いろいろおさえておきたいポイントがあるので、次回に続く。

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