0632【動物の体のつくりと働き17】刺激と反応5 意識して行う反応・意識せずに行う反応

意識して行う反応

 たとえば「先生の話を聞いて,ノートにとる」ということをする場合、神経系など体の中ではいろいろと動きが起こっています。
 目や耳から感覚神経を通じて、先生が話をしているという情報が脳に届き、「じゃあノートに書こうかな」と脳が判断し、脳から運動神経を通じて手の筋肉を動かして鉛筆を持つわけです。
 ここで脳は「まあここは知ってることだし、ノートにとらなくてもいいや」という判断もできますよね。

 細かいことですが、目からの場合のように、感覚神経が脊髄を通らず直接脳につながっている場合もあります(もちろん、感覚神経ー脊髄ー脳というパターンもあります)。詳しくは次回やります。ただ、今回は次のケースとの比較が目的で、無駄にややこしくして本質を見失わせるのはよくないと考え、あえて脊髄を入れた図を示します。

意識せずに起こる反応

 これに対し、熱いやかんに触ってしまったときのように、問答無用で手をはなせ!という状況のときは、脊髄に信号が届いた時点で運動神経に手をはなすような指令が送られます。これを反射と言います。

反射のときにすすむ、信号の経路は、先ほどの例と比べてどう違うでしょうか。2つの図をよく見くらべてみましょう。

そう、反射の時は脊髄で折り返しているのですね。ということは、反射は【意識して行う反応】に比べ、脊髄と脳の往復の時間分(プラス脳で処理する時間分)、早く反応できるということになります。熱いやかんに触れているという緊急事態ですから、0.1秒でも早く手を離したいですよね。

 ただし、脊髄の反射は、脳と違って、「この刺激がきたらこの反応をする」というシンプルな1:1対応ですから、先ほどのノートをとるかとらないかのような、とりうる複数の反応の選択肢からどれにするか選ぶというようなことはできなません。
 そして、脳がタッチしないと言うことは(事後報告はありますが)、意識して反射を起こさない,ということはできない、ということでもあります。

反射の例
 反射の例としては教科書では熱いやかんを引っ込めるという例が出されますが、他にも前々回やってみた明るいところで瞳孔が収縮する対光反射、いすの座る位置を高くして、足をブラブラさせた状態で、ひざの「皿」の下の部分をたたくと足が跳ね上がる膝蓋腱(しつがいけん)反射も有名です。
 その他、目の角膜にものが触れると目が閉じる角膜反射、鼻の粘膜をこよりなどでくすぐるとくしゃみが出るくしゃみ反射もあれば、赤ちゃんだけに起こる、吸引反射(唇をこすられると、乳汁を飲むような動きをする)や把握反射(手に触れたものをつかむように握る反射)もあります。
哺乳反射 
 さらに、明るいところで瞳孔が収縮する対光反射や、見ているものが近づくとレンズが厚くなってピントを合わせる調節反射は、運動神経を通って骨格筋を動かしているのではなく、自律神経を通って平滑筋を動かしています。とはいえ、反射のところでやったこの図の「運動神経」が「自律神経」になる自律神経反射(内臓反射)です。
 とはいえ中学理科では自律神経は登場しないため、対光反射などを中学理科の範疇で反射の例に挙げていいものかどうかというのは意見の分かれるところで、対光反射が載っている教科書とあえて載せていない教科書があるほどです。

そうそう、「反射神経」なんて言う名前の神経は、体のどこにもありません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました