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0622 【動物の体のつくりと働き12】生命を維持する働き12 排出系

 呼吸をはじめとする体の中の化学変化による生成物の中には、いらない物質もあります。このうち二酸化炭素は既に学習したように、細胞⇒組織液⇒血管⇒肺 と送られて、体外に出されます。では、二酸化炭素以外の不要物はどうすればいいのでしょうか。

 例えば、アンモニア。炭水化物は文字通り炭素と水(水素と酸素)でできているので,窒素は含まれていないのですが、アミノ酸は窒素も含まれているので、NH3、アンモニアとして出てきます。アンモニアはくさいというイメージがありますが、有害でもありましたね。ですのでそうそう長時間、体の中でのさばらせてはいくわけにはいきません。

 こいつは、早く追い出したい。

 そこで、アンモニアは肝臓で尿素に変えられます。

 これはなかなか味わい深い化学変化です。アンモニアの他に体にとって不要な二酸化炭素を使い、尿素の他に水ができています。尿素は無害で、水ももちろん無害ですから、アンモニアの毒性が完全に消え去れたわけです。

 もっとも、尿素は,体にとって害はありませんが、役にも立たないので、捨ててしまいたいところです。

 そこで、尿素は血液に溶けて運ばれ、腎臓で水などとともにこし出されます(ろ過のイメージ)。
 腎臓は腰のやや上に左右1個ずつあり、こぶし大の大きさで、よく、形がそら豆に似ているといわれます。腎臓には心臓から送りだされる血液の約4分の1が流れ込み、腎臓の糸球体(しきゅうたい)というところででろ過されます。このろ過液を原尿というのですが、1日にできる量なんと約150リットルもあります。

看護roo! より

 原尿には、不要な老廃物と、水分、塩分、糖分、アミノ酸など体に必要な物質が含まれています。体に必要な物質は、原尿が再吸収されて血液中に戻りますが、老廃物は輸尿管を通って膀胱(ぼうこう)に貯められたあと、尿として排出されます。
 これは同時に血液中の塩分濃度の調整にもなっています。

 腎動脈から流入した尿素の10〜30%ほどが尿管へ流出し残りは腎静脈へ流れる。
イラストACより

 腎臓や膀胱などをまとめて排出系と呼びます。

さて、以前学習した血液の経路の図に、わざわざ腎臓がありました。

 腎臓で血液中の尿素が回収されますので、腎臓を出た後の静脈(腎静脈)は、他のところを通る血液に比べ、尿素の濃度が特に低いという特徴があり、血液の循環の問題にはよく問われるところです。
 一方、腎臓は実はけっこうなアンモニア生産地で腎動脈より腎静脈の方が血液中のアンモニア濃度が高いことが知られています。なので、この血液の循環の問題で「尿素が少ないところは」という問い方ならいいのですが、「不要物が少ない」と出題してしまうと、腎静脈が正解、とはいえなくなってしまいそうです。腎臓でのアンモニアの発生量より腎臓の回収量の方が圧倒的に大きいならばよいのですが)

尿は本来は無臭です。アンモニア臭いのは尿素が空気中の細菌によって、アンモニアに分解されるからです。

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泌尿器の生理学

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