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0582 【植物の体のつくりと働き05】光合成に必要な物質

ここまでで光合成は光が当たっているときに葉緑体で行われることが分かりました。
では、光合成の材料、必要な物質は何でしょうか。

課題:光合成に必要な物質には何があるだろうか。

 いきなりこういう「物質は何か」という課題だと、エジソンのフィラメント探しじゃあるまいし、無数にある物質を一つ一つ調べていくわけにもいきません。
 そこで、物質にあたりをつけて、つまり仮説を立てて、それが正しいかどうかを検証する(ことを繰り返す)ことが現実的な方法です。
 ということで必要な物質は何だろうかと、小学校を含め今まで学習したことから考えてみましょう。
 小学校では「植物は光が当たると二酸化炭素を取り入れて酸素を出す」と学習しました。これが光合成のようですね。だとすると、取り入れた二酸化炭素が光合成に必要な物質の候補となりそうです。

では、「光合成には、二酸化炭素が必要である」という仮説を立て、その仮説が正しいか検証する実験を考えましょう。

 光合成に二酸化炭素が必要かどうかを調べるから、光合成している植物によって二酸化炭素を減らすことを示せばいい。
 ただし、光に当たった植物があって、そこの二酸化炭素が減っていても、それだけでは二酸化炭素が減った原因が植物(光合成)によるとは言い切れない。光の当たった植物がないときに、二酸化炭素が減らないことも併せて示さないといけません。

 光合成に関しては、小学校で扱う範囲が微妙で、小学校学習指導要領解説理科編を見る限り「植物の葉に日光が当たるとでんぷんができること。(第6学年B(2)ア(ア))」「植物は光が当たると二酸化炭素を取り入れて酸素を出す(解説p.88)」とまであるのに「光合成」という言葉は登場しません。
 ですが、ここまできたら小学校でこれらの現象を「光合成」という言葉を出して教える先生(もっと言うと塾)も少なくないでしょう。さらに確認はしていませんが、それが小学校の教科書の「発展」の扱いで触れていてもおかしくないでしょう。
 そのうえで中学校で授業をするに際し、どこまでが小学校での既習事項として、どこから中学校でまだわかっていない「課題」として解決していくか、結構微妙なものがあります。「植物は光が当たると二酸化炭素を取り入れて酸素を出す」と小学校でやっていながら、中学校で「光を当てた植物の方だけ二酸化炭素が減っていた」という実験結果からはじめて「光合成には二酸化炭素が必要だ」とあたかも新発見のようにもっていくのは、なんだかな~という気がしています。小学校で習ったけどそれを科学的に証明してみよう、というスタンスならまだわかるのですが…。

実験

A. 石灰水を使った方法

 ① 2本の試験管に息を吹き込む。
 ② そのうち1本だけタンポポの葉を入れる。
 ③ 2本ともゴム栓をして、日光に当てる。

 ④ 数時間後、両方の試験管に石灰水を入れる。

葉が入ってない方は白く濁ったままですが、葉がある方は濁りがなくなりました!

B BTB液を使った方法

 ① ビーカーに水を入れ、BTB液を加え、二酸化炭素を吹き込んで黄色くした。

 ② 2本の試験管のうち1本だけにオオカナダモを入れた。
 ③ 2本の試験管に①の黄色くなった水を入れ、ゴム栓をして、日光に当てた。

 ④ 数時間後、両方の試験管の色の変化を見る。

実際にやったのがこちら。
日に当てたらオオカナダモのある方だけ青くなってしまいました。

タイムラプス撮影してみたのですが

よくわからないですね。背景も色がついてるし オオカナダモが邪魔で水の色が見えないし。

ということで再撮影。今度はいい感じです。

【考察】二酸化炭素はシロかクロか?

Aの実験では、
・葉のない方は石灰水が白濁していることから、二酸化炭素があることが分かる。
・葉のある方は石灰水の白濁がないことから、二酸化炭素がないことがわかる。

Bの実験でも、
・葉のない方は、BTB液が黄色いままなので、二酸化炭素があることが分かる。
・葉のある方は、BTB液が青色になったので、二酸化炭素がないことが分かる。

つまりどちらの実験でも、葉のない方は二酸化炭素があり、葉のある方は二酸化炭素がなかった。
つまり光が当たった葉があると、二酸化炭素はなくなったことが分かる。
これは光合成によって、二酸化炭素が使われたためである。

 ヤバイ、私自身わかんなくなってきた。。。
 教科書ではさも当然のように言っているけど、これ、冷静に考えると「植物に光を当てると二酸化炭素が減る」ことしか証明できてないんじゃね?
 「光を当てた植物は光合成をする」という前提に立てばなんとかなりそうだけど、何をもって光合成とみなすのかという前提を明確におさえておかないと、生徒にとっては論理が飛躍しまくっているんじゃないかな。

 むしろ、「光合成には、二酸化炭素が必要である」という仮説を検証するには、光を当てて光合成が起きればデンプンができているはずだから
①二酸化炭素を加えた植物に光を当てるとデンプンをつくる(二酸化炭素があると光合成がおきる)
②二酸化炭素を加えずに植物に光を当ててもデンプンをつくらない(二酸化炭素がないと光合成できない)
を証明する方が正しいんじゃないかという気がしてきました。。。
 なんか私、大事なこと見落としてますかねぇ。

結論:光合成には、二酸化炭素が必要である。

実はこのほか、「水」も必要です。
ただし、水が必要なことを検証しようとするのは大変。水が必要なことを証明するには、水があるときとないときで比較する必要があるけど、水がない状態って、植物が干からびて光合成どころじゃねーだろ(笑)。

光合成についてまとめるとこんなふうになります。

おまけ。
BTBの方の実験でオオカナダモに泡がついていました。光合成でできた酸素ですね。

と思ったのですが、オオカナダモの無い部分や、黄色いままの試験管にも小さな穴が見られます。もしかして日光で温められて溶けきれなくなって出てきた二酸化炭素か?

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