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0633【誤解のポイント】感覚神経から脊髄を通らないで脳に行く話

お恥ずかしい話ながら、私も長い間誤解していたことです。言われてみれば「ですよね~」な話ですが…。

【誤解のポイント】
「目から入った光の刺激は感覚神経を通って脊髄、さらに脳へと伝わる。

これ、意図的にミスリードを狙ってんじゃないかと思えるくらい、教科書(をはじめとする教材類)の構成が悪い。
いや、私も教科書の編集に関わっているんだけど、さすがにこいつだけは擁護できません。

つまりこういうことですよ
(1) 目や耳、皮膚などのの感覚器官がぞろぞろと紹介されている。
(2) 脳やせき髄は多くの神経が集まり判断や命令を行う中枢神経であるという説明がある。
(3) さらに、意識して起こる反応だと、信号が感覚神経を伝わって脳に行き、脳から反応の指令が脊髄、運動神経、筋肉へと行く説明もある。
(4) そして、意識とは無関係に起こる反応が反射で、その例として熱いやかんを触ると手を引っ込める反射が挙げられ、皮膚⇒感覚神経⇒脊髄ときて、この時点で脊髄から反応の指令が送られる(脳にも連絡は行くが…)図が示されている。

 ええ、(1)(2)(3)(4)いずれも正しい内容です。間違っている点はございません。
でもそう書かれたら、目や耳なども皮膚と同様だと考え、【誤解のポイント】のような誤解が起こるのも当然でしょう。

 かくして「光の明るさによって瞳孔の大きさが変化する」なんて事例では
 目⇒感覚神経⇒脊髄⇒運動神経⇒虹彩の筋肉(瞳孔括約筋と、瞳孔散大筋、詳しくは参天製薬のサイトをどうぞ)と言いたくなりますよね。
看護roo!より

 でも、さにあらず。

【理解のポイント】
目の神経(視神経)や耳の神経(聴神経)などは脊髄には行かず脳と直結している。

だって、脳がすぐ近くにあるのに脊髄まで行ったら遠回りになるもん。
あ、言われてみればたしかに…。

神経系の区分を専門的にみると
まず神経系が脳と脊髄の中枢神経とそれ以外の末梢神経に分かれます。
末梢神経は感覚神経と運動神経の体性神経系と、交感神経、副交感神経とある自律神経に分けられます。

そして体性神経系は感覚神経と運動神経という機能的な分け方の他に、脳神経と脊髄神経という形態学的な分け方もあるのです。

 脳神経は嗅神経、視神経、内耳神経、舌咽神経など全部で左右12対あり、そのほとんどが頭部や顔面、頸部に支配領域が限定されています。まさに、わざわざ脊髄までいくと遠回りになりそうなところばかりですね。

脳神経について詳しくは
江原 朗 人体解剖生理学10 神経系の構造 7ページに脳神経の一覧がある
末梢神経系のおはなし Akira Magazine
脳幹部の解剖図 脳外科医 澤村豊のホームページ



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