0726【天気の変化12】前線の通過と天気の変化05 寒冷前線と温暖前線
暖気と寒気がぶつかると、こんなふうに意外にすぐには混じらず、結構はっきりとした境界面ができます。
寒気(モデル実験では氷水)は密度が大きいため下に、暖気(モデル実験ではお湯)は密度が小さいため上に行くのです。
この暖気と寒気の境界面を前線面といい、前線面のうち地面と接している線を前線といいます。
前線には4種類ありますが、そのうち寒冷前線と温暖前線についてみていきましょう。
冷たい空気が暖かい空気を押しのけて進む。これが寒冷前線です。重いのが軽いのを蹴散らしていくようなイメージです。
これに対し、温かい空気が冷たい空気を少しずつ上から侵食していくのが温暖前線です。軽いのが重いのに「すみませんすみません」とどいてもらうイメージです。てことで断面図。
まず、記号から説明していきましょう。
断面図から寒冷前線は丸っこい、温暖前線は三角っぽい部分があるのですが、
寒冷前線のマークは三角、温暖前線のマークは半円です。
よく幽霊が頭に三角の白い布つけてますよね。「天冠(てんかん・てんがん)」とか「額烏帽子(ひたいえぼし)」 とか「紙冠(かみかぶり)」とか「宝冠(ほうかん)」とかいろいろ名前がついてるみたいですが。
アレを思い出して 幽霊→三角 幽霊→涼しくなる って連想で三角は寒冷前線のマークと覚えると…普通に覚えたほうが早いです。
ちなみに、カラーが使えるなら、寒冷前線は青、温暖前線は赤でかかれます。
次に雲についてです。
暖気は、文字通り暖かい、つまり気温が高いので、飽和水蒸気量が大きく、それなりの水蒸気を含むことができます。そして特に海上なんかにあったりしたら、実際にたくさんの水蒸気を含むことになります。そんな暖気が寒気に接することによって温度が下げられたらどうなるでしょうか。温度が下がる→飽和水蒸気量が下がる→露点を下回る→水滴(雲)ができる、ということになります。
つまり、暖気の前線面付近に雲ができるのです。具体的にはこのあたりにできます。
(この雲と糸の教材については 前線での雨の降り方がわかる雲 定点観測編 を参照)
寒冷前線の場合は、前線付近の前線面が垂直方向に伸びています。これに沿って、雲も垂直方向に伸びていきます。
雲が垂直方向に積まれていくイメージです。だから積乱雲、積雲などができます。
温暖前線は、前線付近の前線面は図では斜めですが、実際はもっとずっと平らに近く、かなり水平に近い状態に伸びています。これに沿って、雲もかなり水平に近い状態に伸びていきます。
雲が厚みはないけど水平方向に広がっていく層のようなイメージです。だから乱層雲、高層雲などができます。
雲については、次回詳しく見ていきます。
雨の降り方。
上の画像の雲から出ている綴りひもに注目します。
温暖前線は雲を横長にして使います。
寒冷前線は雲を縦長にして使います。温暖前線に比べ、雨は集中的に(短時間に強く)降ることがわかります。
さらに、この図で前線の前に立っている人に注目します。寒冷前線の前に立っている人は、かろうじて暖気の中にいます。ところが、この後すぐに寒気の中に入ってしまいます。同様に温暖前線の前に立っている人は今は寒気の中ですが、このあと暖気に入ることになります。
寒気から暖気へ
すると、通過後の気温と風向の変化はどうなるでしょうか。
寒冷前線は暖気から寒気に変わるのですから、気温は下がり、暖気の南寄りの風から寒気の北風に変わります。
温暖前線は暖気から寒気に変わるのですから、気温は上がり、通過すると暖気の南寄りの風が吹くようになります。
ただし、前線通過前後の風向の変化はデリケートな部分があり、教科書レベルでもその表記に差異があります。
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