0132 【状態変化4】物質の融点と沸点(1) 状態変化が起きる温度
水の場合は、0℃で凍り、100℃で沸騰するのでした。
かつては1気圧下における水の沸点を 100度,凝固点を 0 度 として、セルシウス温度(セ氏)を定義していましたが、1990年に定められた国際温度目盛ITS-90では、絶対零度と水の三重点を基準にしている関係で、水の沸点は99.9743 ℃,凝固点を 0.002519℃だそうです。
そういえば、丸善から出ている理科年表で、国際温度目盛が改正された1990年当時の版の理科年表の帯に「水の沸点は100℃ではない!」と煽っていたのを覚えています。
では、他の物質はどうでしょうか。
課題:水以外の物質が状態変化するときの温度は、どうなっているのだろうか。
そういう課題でしたら、水以外の物質を用意し、その温度を測りながら、加熱するか冷却するかして状態変化をさせればよさそうですね。
具体的に、物質をエタノールとすれば、常温で液体ですので加熱して気体に状態変化するときの温度を一定の時間、例えば30秒ごとに記録していけばよいわけです。
なおこのとき、状態変化が起きていることを確認しないでひたすら温度だけを記録する場合がありますが、本末転倒ですね。エタノールを観察することも忘れずに。
そしてこれも大切なことなのですが、エタノールは引火性が強いので、ガスバーナーで加熱…なんてことは危なくてできません。そのためお湯で温めることになります。
【方法1】
ガスバーナーでビーカーに入った水を温め
沸騰させます。
そしたらガスバーナーを消して
そのビーカーにエタノール(と沸騰石)の入った試験管を入れます。
すると、すぐにぼこぼこ泡が出て
78.4℃になりました。
ただこの方法の場合、試験管に入った5mLのエタノールはビーカーに入れて1分30秒後には沸騰してしまい、30秒ごとに悠長に温度を測っていられませんでした。沸騰しているとき温度が平らなことはわかりますが、温度上昇が急すぎて、どこで沸騰が始まっているのかがわかりにくいです。
ちょっと気に入らない。いや、世間は許しても、ワシは許さん!
そこで
【方法2】
エタノールを温める水をホットプレートで温めてみました。温度設定は200℃で
観察によると、10.5分あたりから沸騰しはじめました。
その時の温度が78.3℃。いい感じです。
グラフはこうなりました。
沸騰している間は、78.3℃で一定になっています。
パルミチン酸でもやってみましょう。パルミチン酸は常温で固体の物質です。
パルミチン酸を加熱して液体になるときの温度、せっかくなので液体になったあと、冷やして固体になるときの温度を調べてみましょう。実験の様子はこちらで。
やはり、固体から液体に、液体から固体に状態変化している間は、約60℃で一定になっています。
液体を熱して、気体になるときの温度を沸点、固体が融けて液体になるときの温度を融点といいます。
エタノールの沸点は78℃、パルミチン酸の融点は63℃というふうに物質によって沸点、融点は決まっています。これを利用すると、例えばわけわからない固体の物質があったとき、温めてみて63℃で液体になったなら「これはパルミチン酸じゃね?」と物質を区別するときの手がかりに使えるのです。
いろいろな物質の融点や沸点については教科書や参考書や資料集や化学便覧や理科年表などに載っています。
結論:状態変化するときの温度は、物質ごとに決まっている。
(問題)
エタノールの融点は―115℃、沸点は78℃、パルミチン酸の融点は63℃、沸点は360℃です。
次の①~③の温度では、エタノール、パルミチン酸はそれぞれ固体・液体・気体のどの状態でしょうか。
① 0℃ ② 70℃ ③100℃
(解答・解説)
融点より低い温度だと固体、融点と沸点の間の温度だと液体、沸点より高い温度だと気体になります。
したがって、
①0℃では エタノールは液体 パルミチン酸は固体。
②70℃では エタノールは液体 パルミチン酸も液体。
③100℃では エタノールは気体 パルミチン酸は液体。
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