0100 【物質のすがた13】気体の発生と性質(4) アンモニア

2023年2月2日

無色ではありながら、鼻をツンと刺すような特有の刺激臭でおなじみの アンモニア NH は、

アンモニア水を加熱する
塩化アンモニウムに水酸化カルシウムを混ぜて加熱する
・硫酸アンモニウムに水酸化カルシウムを混ぜて加熱する
・塩化アンモニウムに水酸化ナトリウムを加えて水を注ぐ
など、代表的な発生方法がいくつかあり、
酸素の「過酸化水素水と二酸化マンガン」、二酸化炭素の「石灰石と塩酸」、そして水素の「亜鉛と塩酸」というようなお約束のコンビではありません。

もっとも、いずれの製法も「アンモニウム」(アンモニア水も「水酸化アンモニウム」と考えれば)が絡んでいます。

 密度は空気よりも小さいので、ほおっておくと上に行きます。
 また、水には非常に溶けやすい性質があり、20℃では水の体積の700倍以上のアンモニアが溶けます。
 そして、水にとけた水溶液はアルカリ性というところも重要なポイント。濡らした赤リトマス紙を近づけると青くなります。

水にとけて酸性になる気体は二酸化炭素をはじめいくつもあります。酸性の水溶液の代表選手ともいえる塩酸も、塩化水素という気体が水にとけたものです。ところが、アンモニア以外で水にとけてアルカリ性になる気体は、あったとしても相当マニアックな奇態気体のはずです。

 アンモニア NHのN(窒素)が、周期表のすぐ下にあるP(リン)に入れ替わった、ホスフィン PHの水溶液もアルカリ性になる可能性はありますが、アンモニアのpKb が4.8程度なのに対し、ホスフィンのpKb は26と、水酸化物イオン OH を放出する作用の圧倒的な弱さを誇ります。というか、アンモニアが圧倒的に強いのか。

そして、このアンモニアの性質を巧みに利用している実験がこちら、アンモニアの噴水。

 ちなみに、この原理の説明の仕方について、一部の先生の間で生徒そっちのけで熱い議論が繰り広げられることがあります

 単に臭いだけではなく有毒なので気を付けましょう。アンモニア用防毒マスクもあります。ちなみに、アンモニア用防毒マスクの吸収缶の色は緑色です。

 アンモニアは肥料の原料になります。硫酸アンモニウムは「硫安」と略され、窒素のみを含む化学肥料(単肥)として使われています。

 また、かつては冷蔵庫には、アンモニアが冷媒として使われていました。冷媒としては優秀で、フロンを使った冷凍機などよりもコンパクトな装置ですみます。とはいえ、毒性・可燃性がネックとなり、安全性の高いフロンに取って代わっていったのでした。しかし、フロンもオゾン層破壊など環境に悪影響を与えるという欠点があることがわかってきました。そのため、アンモニアの冷媒としての可能性が見直され、技術の進歩も相まって、アンモニアを冷媒とした冷却装置が、工場などの大型装置やアイススケートリンクなどで使われるようになりました。

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